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うつしおみ

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真実を求めてこの世界を旅する魂の物語。
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#瞑想法

うつしおみ 第37話 目覚めの扉

その夢は虹色が混ざりあって蠢き、 何かの形をつくろうとしている。 手を添えて望む形をつくるが、 その端から砂城のように崩れていく。 世界は雲のように形を変え続け、 その流れを止めることはない。 そこで形にこだわる人々は裏切られ、 世界に存在する意味を失う。 だが、夢の本質は完全に静止していて、 そこに形というものがない。 その本質に触れて同化すれば、 夢の中で夢から覚めることができる。 形がないため裏切られることもなく、 そこに存在する意味をも取り戻す。 本質は

うつしおみ 第36話 落下の呪縛

夏の朝、薄日差す雲間から、 光の筋のような雨が絶え間なく降っている。 天に向かった魂たちが水滴となって世界に戻され、 また時の旅をはじめるのだ。 その魂たちは明らかに何かを知らなかったため、 天の扉を潜ることはできなかった。 遠い空を見上げてため息をつき、 いつかその扉を超えていく日に思いを馳せる。 世界の呪縛を解き放てれば、 まだ見ぬ漆黒の天に住まうことができる。 その呪縛を解く方法をこの旅で見つけ、 こうして落下する循環を終わらせるのだ。 魂たちは旅した世界の