マルシェに出店したいあなたに#2
アイキャッチを作ろう
私がガーデンデザインを学んでいる時に初めてアイキャッチという言葉を知りました。花が咲いてる庭の中に不意に現れるベンチや大きな壺などです。 その庭を眺めた時にベンチや壷に視線を奪われます。
これがアイキャッチです。
そして自然にそこに歩いて行くように庭を作られ作ります。アイキャッチとは視線を奪い導線を作るものです。カメラマンは その壷やベンチにピントを合わせるでしょう。 ディスプレイも一緒です。視線を奪い導線を作るもの 見つけてください。
例えばそれは商品だけではありません。タープの中で座ってるのか立ってるのかだけでもお客さんの視線は違います。自分がお客さんの立場になってみてください。
例えばうちのマルシェの人気出店者ピナカラーさんはこんな声かけをします。
「愛知牧場の本物の羽を使ったピアスやイヤリングです。どうぞ見ていってください。ピアスとイヤリングはすぐ付け替えもできます。」
この数十秒の声かけでお客さんの視線を奪い導線を作ります。
これもひとつのアイキャッチです。見せることだけではありません。
あるマルシェの日に行列の実験をしたことがあります。クリスマスイルミネーションのきれいな公園で、夜に行ったマルシェです。公園に来たお客さんはみな遠くでキラキラ光るイルミネーションに心を奪われています。通路に並ぶキッチンカーには目も向けません。キッチンカーの横で通行する人々を観察していると一瞬こちらを見ますがイルミネーションのキラキラに早く行きたいと言う気持ちの方が勝っています。
この公園の中でイルミネーションがアイキャッチになっていて(当たり前ですが)その狙い通り視線も導線も奪っている状況です。
そこで私ともう一人でお客さんの一人もいないキッチンカーに買い物に行きました。慌てないのでゆっくり用意してくださいとだけ伝えました。そうして二人並んでいると後ろに一人並びました合計3人が並んでいます。すると 通行人の何人かが足を止めてくれました。つまり行列がアイキャッチになった瞬間です。足を止めてもらって、やっとメニューを見てもらえます。女の子が言いました。「チーズハットクがある!」
この観察はとても良い気づきを与えてくれました。人気のメニューがあるのにメニューを見ようとさえもしてなかったのです。
いろんなお店が負けじと看板を出しているのには意味がありますね。
しかしアイキャッチとして効果的でないと意味が無いことがよく分かりました。
そうして5人ほど並んだところで キッチンカーの後ろから眺めていました。もうマルシェが終了するまで行列が途切れることはありませんでした。行列の法則についてはまた書き記したいと思いますが、ここで大事なのはアイキャッチは必ずしも商品だけ、看板だけではないということ。どんなことでお客さんの視線を奪い導線を作ることができるのか考えてみましょう。
考え方は様々ですが絶対にやってはいけないことがあります。まずテーブルの上に商品を並べるだけ。アイキャッチもないどころか商品をお客様が見ることもできません。逆に棚を作りすぎて出店者の顔が全く見えない状態にすること。これも間違いです。お客さんはその商品が買いたいのではなくあなたから買いたいのです。そしてお客さんが来たのに全く声をかけない。これも絶対にやってはいけません。
アイキャッチの本質が視線を奪い導線を奪うこと、なのだから。
やった方がいいのは何でしょうか。例えば、お客さんの目線の場所に一番自信のある商品を置くこと。お客さんが見た時に、話しかけてきた時にあなたが語れるストーリーがある商品です。そのストーリーもアイキャッチの一つです。視線、導線だけでなく心も奪えるかもしれません。また目線を奪うという意味では 違和感のあるものも効果的です。それは商品じゃなくてもいい場合もあります。ガーデンデザインの際に植物ではなく構造物を置くのもその一つです。
お店の屋号の入った看板を作るのも一つでしょう。個人的には看板があると必ず写真には収めるくらいには必須だと思ってます。
マルシェの中のタープの中で販売することを考えると、導線はお客さんの商品の手に取りやすさと言えるかもしれません。お客さんに商品を手に取ってもらうというのは商売をする上では一つのハードルです。是非手に取りやすいとディスプレイを工夫してみてください。 見てもらって、手に取ってもらう。売れる売れないではなくあなた自身の作品を見てもらいましょう。そして、その時にあなただけのストーリーが語れば最高です。
お客様の視線を奪い導線を奪う。そしてあなたのストーリーで心を奪うことができるともう人気作家への一歩を踏み出しています。
ぜひお客様の視線がどこにあるのか?を意識してみてください。
意識していないと見えてさえこないのですから。
ただ、これは難しく考えるのではなく出店しながら楽しんで実践してください。マルシェ出店の楽しみのひとつなのですから。
最後までお読み頂いてありがとうございます。 ここまで貴重なお時間をお使い頂き感謝です!