今日もご飯がおいしい。 思いつきの雑文置き場。

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最近の記事

雨の日

雨は嫌いだ。 頭は痛いし、出歩けば足元は濡れて汚れるし、傘は邪魔だし。 私は傘をさすのが上手くない。そう言うと、傘のさし方に良し悪しがあるのか、と笑われる。あるに決まっている、と思いながら曖昧な笑いで誤魔化したりする。 傘をさすのがうまくない。 まず、どこを持つのかが曖昧だ。 まっすぐなところ?曲がっているところ? なんとか落ち着く場所を持ってみると、今度は頭が骨につかえる。 あげく、細い骨に髪の毛が絡んで、引っ張られて、痛い思いをする。 ため息交じりに髪の毛を諦めてむしれ

    • カフェ

      カフェでの過ごし方が分からない。 正しくは、おしゃれなお店での身の置き方が分からない。 好きに過ごせばいい、と分かってはいても、普段私はどんな風に振る舞っていたかが途端に分からなくなる。 挙動不審に周りを見回してしまったり、近くのお客さんと目があって気まずくなったり。 そんなことばかり、繰り返している。 同じお金を払うなら、スーパーでお惣菜を買い込んで、こたつでお酒を飲みながらゴロゴロした方がいい。 そんな風に思いながらも、カフェを楽しめる自分には憧れがある。 そこで

      • 私はほとんど夢を見ない。 それでも稀に、目覚めたときに、形にならない夢が指の間からすり抜けていく、そんな感覚を覚えることがある。 目覚めた瞬間に、強烈な感情を持っていることがある。 それは反芻しているうちに、跡形もなく溶けてなくなってしまう。 残るのは、なんとも言えない後味の悪さ。 夢は願望の現れだとか、処理しきれない思考のガス抜きだとか、そんなコトを聞いたことがある。 私が夢を見ないのは、どうしてだろう。 私が夢を見るのは、どうしてだろう。 そんなコトをもぞもぞ考え

        • 学ぶ

          何に繋がるか分からなくても、知りたいことを知りたいときに学ぶこと。 これができるようになったことが、私の人生をたぶん、少し豊かにしている。 福祉の資格を取るために通信制大学に進学したこと。好きになったスポーツをもう少し深く知りたくて、アナリストの勉強をしてみていること。 たぶん他人から見たら少し愚かで、無駄なことをしているのかもしれない。 でも、知りたいと思ったことを知ろうとすること、それは私にとって少しワクワクする。 生きている実感がある。 何かを学ぼうとするとき、私は

          読むこと、書くこと

          ずいぶん久しぶりになった。 最後に書いたときから、色々なことがあった。 まず、故郷に帰ってきた。故郷と書くとなにかしっくりこないのだけれど、好きな街に戻ってきたということだ。水がいい、空がいい、道がいい、空気がいい。立っていて、歩いていて、しっくりくる。そんな街に帰ってきた。 次に、転職をした。そこまで立派な理由があったわけではないけれど、それなりに今までの経験やできることを活かして仕事ができている。前職で出会った尊敬する人の言動をふとした時になぞる自分がいて、少し感傷的にな

          読むこと、書くこと

          5

          ひそかに500円玉貯金をしている。 はじめてから、ちょうど5年たった。 数えてみたら、5万円貯まっていた。 5、という数は、なんだか中途半端な気がする。 直線のようで曲線。曲線のようで角がある。 大きいようでいて、足りない。足りないようでいて、なんだか持て余す。 そんなイメージだ。 5。 気がついてみれば、今までの人生でそんなに縁のない数だった。 それがどうしてか、ここに来て目にとまる。 500円を5年間で5万円。 よくもまあ、こじつけたものだ。 なん

          7

          思いたくても思えなかったことがある。 書きたくても書けなかったものがある。 父の命日は、7日だ。 月が変わり、季節が変わり、年が変わった。そのうち日付を意識することがなくなった。 なのにどうしてなのか、ふとカレンダーを見て気づくと、明日が7日だったりする。 その瞬間が、とてつもなく痛い。 苦しいとか悲しいのではなくて、痛い。 父を思うことが出来るようになったのは、最近だ。 ずっと、思うことができなかった。 それこそ仏壇やお墓に手を合わせてみても、何を思えばいい

          大事な人を亡くした。 30年も生きれば、大抵の出来事には出会うだろうと思っていた。 大抵の出来事は、やり過ごしていくだろうと感じていた。 事実、やり過ごして一年がもうすぐ過ぎる。 職場の上司だった。 友達に声をかけられて転職を考えていたあの頃、初めて出会った。 すごい人だと思った。  変な人だったけれど、猛烈に惹き付けられる人だった。人生で初めて、この人と仕事がしたいと思った。 すがる母を振り切って、遠い街に引っ越した。 知り合いもいない、縁もゆかりもない土

          4

          まだ4年、と思ったと同時に、もう4年、と言葉が浮かぶ。 あの日病室に満ちていた生ぬるい空気は、忘れたようで時々ふと溢れだす。 もう声も思い出せないのに、痩せ細った顔も思い出せないのに。写真のなかで笑う父は、いつまでもそのままだ。 後悔はたぶん、きっとないけれど、ふとしたときに胸が締め付けられる気がする。肩に置かれた手を感じる気がする。 4年。 短いような、長いような。 あの日無理やり進ませてしまった心の針は、今も違和感を引きずりながらそれでも時を刻む。

          9

          香水を買った。 9。 添えられた物語も、その香りも、深い大人の色をしていた。大人。 私は成人を迎えて久しいけれど、果たして心は大人ではないと思う。いつも背伸びしているだけの、小さな子ども。わがままな、幼くもろいもの。 人はどうやって大人になるのだろう。 いまだにその答えを見つけられないまま、私は明日もひとり背伸びをする。 9の香りとともに。

          2

          2という数字は、いつも恋人を連想させる。 私はねちっこいくせに飽きっぽい。同じ相手と2年を共に過ごせたことがない。 そんな私も、長い片想いをしていたことがある。タイミングの合わない彼と自分を、恋物語のようだと自惚れたこともある。ずっと、運命のように思っていたところもあるのだろう。 そんな彼は、もうすぐ結婚する。2年ぶりに私の誕生日に届いたメッセージでそれを知った。悲しくはなかった。でもようやく、過去にできたと安堵した。 どうか彼に、2人に、幸多かれと願っている。