ふたたび
そろそろ秋が終わるからか
僕らは様々なことに〝落ちる〟
ひらひらと舞い散る落ち葉
まるびを帯びていく果実
夏前に訪れた
まだ、淡かった君への想い
日帰りの旅先で食べた
厚焼き玉子と玄米のおにぎりが
僕を過去の些細な出来事へ誘い
忘れかけていた
あの日の思いを呼び覚まし
再び恋に落ちる
夏色の日差しが
秋色になったから
忘れたはずの思いが
いつの間にか深まったのか
ただの、寂しさからなのか…
刹那の沼に
足をとられてしまいそうだ
何かに落ちていくということは
海底に沈んだり
空の彼方へ飛んでいったり…
どこかや何かの奥深い場所へ
踏み込むことと同じなら
あの日の僕は
一歩踏み出す
自信や勇気がなかった、
ただ、それだけだ