応募作品⑫『伊東静雄賞』
※これは、2019年8月に諫早市芸術文化連盟主催〝第30回 伊東静雄賞〟に応募して落選したものです。NOTEに掲載するにあたり、気がついた分については、多少修正や加筆しております。
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『 ほうせんか 』
ほんの少し触れただけで
はじけ飛びそうな
ホウセンカの種
日々澱のように溜まっていく
ネガティヴな感情が
ぎっしりと溜り
大きくゆるりと膨らんでいく
誰かの些細な一言がトリガーとなり
自身へと留まることなく
外側へと向けられてしまった時
それらに深い意味や理由はなく
その時、臨界点を迎えただけで
ただのキッカケに
過ぎなかったかもしれないのに…
そんな自身を振り返り
私のようで私ではない生き物に
化けた時の嫌悪感は
今現在の私にとって
磨いても磨いても
曇りのとれない〝鏡〟でもあり
自身を思い留まらせる
〝碇〟となりえてもいる
そんな私でも
〝生きていていい〟のだと思い
時折、自身を罰したり
赦したりしながら
今尚この地で徨い続けている
留まることを知らない
流浪の民のように…