偽りは偽り

今の自分を満たすために
偽りの日々の中で手に入れた

言葉、お金、ポジション
ほかには何があっただろう…

その時の自分は
偽りだと思っておらず

その場をしのぐために
選んできた物事が

浮き輪となり
未来へ誘ってくれていたけど

今辿り着いた場所では
それらが通用しなくなり

これまでは浮き輪となり得た物が
失われたり逆に錘に化けて

現実の深い海の底のほうへと
静かにゆらゆらと落ちてゆく

あの時救けとなっていた
物事だけではなく

私を支えてくれていた
たくさんの人々までも…

陰陽はこの世の定めでも
偽らなければ

〝浮き輪は浮き輪〟
〝錘は錘〟

それら全てが
化けることはない

偽りで得たからこそ
反転したのではなく

偽りは偽りだった
ただそれだけなのだ