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じゅじゅフェス2024のレポ!人生初の生アフレコに驚愕した話

8月25日(日)にぴあアリーナMMで開催された「じゅじゅフェス 2024」。夜の部に行ってきたのでその様子を書こうと思う。

人生初の声優生アフレコだった。月並みな言葉だが、声優の表現力って本当に凄いと思った。とにかく感動しっぱなしだった。たかが「声」、されど「声」。こんなにも表現に深さや幅があるものか、と知らない世界に出会うことができて本当に良い1日になった。


真人(CV.島崎信長)の開演前アナウンスで早速大盛り上がり!

引用:『呪術廻戦』アニメ公式 X

開演数分前の場内アナウンスを務めたのは、真人役の島﨑信長!

イベントのルールを伝えたあとに「マナーは守ろうね」と言ったり、「君たちとの会話はストレスがなくて助かるよ」など、作中のセリフを積極的に入れ込みながら話す。アニメを見た人ならわかるだろう。このセリフの怖さを。その怖いセリフが開演前アナウンスに違和感なくハマっていることもまた面白いポイントだった。さらに、ハイテンションでコールアンドレスポンスまで求められ「懐玉〜?玉折ー!」「渋谷〜?事変ー!」と早速大盛り上がり。さらには、「無為〜?転変ー!」というおぞましい言葉すらポップに言い合い、開演前から会場の一体感は(こんな言葉で一体になっていいのかわからないけれど)バッチリだった。

オープニングで早速生アフレコ!  「懐玉・玉折」のワンシーン披露

そして、いざ始まった本編。声優陣が順番に登場してくると思っていたら、なんと早速生アフレコが始まったのだ。

ビジョンには「2018年10月19日」の文字。そこに登場したのは通称"1年ズ"を演じた榎木淳弥・内田雄馬・瀬戸麻沙美の3人だ。シーンとしては、3人が五条悟に呼び出されてきてきたものの、呼び出した本人が寝ている、という場面。虎杖悠仁がコンコンと扉を叩き「失礼しまーす、入っていいですか?」と聞いたり、中に入って釘崎野薔薇が「もしかして、寝てる?」というセリフは原作にもアニメにもない、オリジナルだ。そこから、五条悟の夢の中に入るように過去編(懐玉・玉折編)に移行する。

生バンドが演奏し、ビジョンに流れるのは懐玉・玉折編の1話。任務で洋館の下敷きになった歌姫を五条悟が助けにくるシーンだ。「助けにきたよ〜歌姫!泣いてる?」という五条のからかう様な軽々しいセリフが、中村悠一から飛び出した。当たり前だが、そのまんまの声に「ホンモノだ……すげえ……」と思ったのが素直な感想である。

そして「飲み込むなよ、あとで取り込む。」と夏油傑役の櫻井孝宏が登場。更に「歌姫センパ〜イ、無事ですか〜?」と家入硝子役の遠藤綾も登場した。歌姫と冥冥の声は映像から流れ、BGMはバックバンドが生演奏している。そのため、誰かが止まれば取り返しがつかなくなる状況だ。生と映像合わせて合計の5人のキャラがテンポよく会話を重ねていく様子が、BGM含め、スムーズに繰り広げられていく。その高度なパフォーマンスに開始早々大感動だった。

そうして、五条が紙袋を被った呪詛師と戦い、術式反転「赫」を失敗してお茶目に「失敗!★」と叫ぶまでを演じたところで、オープニングは終了。思ったよりも声優陣が表情を変えずに動きもなく、淡々と演じているのを見て「そんな小さなモーションでこの演技が出来るのか」と思ったのが第一印象だ。

いよいよ声優陣の登場!

オープニングの生アフレコを終え、声優陣が登場した。
今回の出演者は、

榎木淳弥(虎杖悠仁)
内田雄馬(伏黒恵)
瀬戸麻沙美(釘崎野薔薇)
中村悠一(五条悟)
津田健次郎(七海建人)
木村昴(東堂葵)
遠藤綾(家入硝子)
島﨑信長(真人)
櫻井孝宏(夏油傑)

計8名の豪華声優陣。それぞれの名言を披露してから登壇し、大きな盛り上がりを見せた。

そして横一列に並び「じゅじゅフェス2024、スタート!」という掛け声と共にイベントは開幕!松澤ネキが司会を務め、オープニングトークを挟み、再度「懐玉・玉折編」の生アフレコへと突入した。

中村悠一と櫻井孝宏が演じる「最強のふたりの決別」

司会の松澤が「拍手でお迎え下さい」と言った為、その言葉通り拍手をすると、映像からも重ねるように盤星教の拍手が流れた。なんて皮肉たっぷりの演出だ。夏油を追い詰めたあの拍手を観客にもやらせるなんて。

そして、天内理子の遺体を抱き抱える五条と夏油が話すシーンを経て場面は2007年の夏へ。五条が最強になっていく一方、夏油は呪術師に対する懐疑心が深まっていく。強い正義感が残りつつも葛藤している夏油の心情を、櫻井が顔色1つ変えずに声だけで絶妙に演じた。ほんの少しだが、確実に変化している声色。その繊細な演技力に感嘆とした。

そして場面は、一般非術師を大量殺害し、死刑対象となった夏油が家入と会うシーンへ。ここは個人に大好きな場面だ。家入に「や!」と明るく声をかける夏油は先程までの悩んだ声とは違う、どこか吹っ切れたような軽さがあった。さらに、そこに対してあっさり対応出来る家入も家入でアニメ通りの演技だ。

そして遂に懐玉・玉折編、最大の山場である五条と夏油が別れる会話シーンへ突入。どんな風に演じるのだろうとワクワクしていると、「説明しろ、傑」と中村が登場した。中村はアニメを再現するというよりも、この場で沸いた感情をそのままぶつけるように演技をしていて、それがものすごくグッときた。「んなこと聞いてねぇ。意味ない殺しはしねぇんじゃなかったのか?!」とか「無理に決まってんだろ!」とか、すべて"なんで俺の気持ちが伝わらねぇんだよ"というもどかしさや、"いつもの傑に戻ってくれよ、目を覚ませよ"という悔しさも孕んでいるような演技で、歪んだ表情も相まって最高だった。その中村の熱を目の前にしながらも、櫻井は顔色ひとつ変えず淡々と「生き方は決めた。あとは自分にできることを精一杯やるさ」と一定のトーンで言い放つ。ふたりの温度差がひしひしと伝わってきて、このシーンの切なさをより一層強くしていた。

次に映ったのは夏油が盤星教を乗っ取ったシーン。つまり、呪詛師の夏油が誕生した瞬間だ。その一方で、五条は幼少期の伏黒恵を迎えに行く。ふたりがそれぞれの道を歩み始めた。櫻井は呪詛師になった途端、声の端々に胡散臭さを漂わせた演技をし、中村は一人称を"僕"に変え、少し「五条先生」寄りの声になっている感じがした。あぁ、もうあのふたりには戻れないのか、と悲しさを感じてしまうくらい、素晴らしい演技だった。

そんな名演を経て、時はイベント冒頭の「2018年10月19日」に戻る。五条が長い夢から目を覚ましたところで、懐玉・玉折編の生アフレコは幕を閉じた。

崎山蒼志の生ライブ「燈」

続いて披露されたのは崎山蒼志による、「懐玉・玉折編」のエンディングテーマ「燈」の生演奏。

歌は、崎山の優しい声で《僕の善意が壊れていく前に/君に全部告げるべきだった》と始まる。まさに夏油の心情を綴ったような歌詞を生アフレコ直後に聞くと、顔色ひとつ変えていなかった夏油もきっと、五条の叫びがズキズキと刺さっていたんじゃないか、と思う。《傷ついてる心が分かるのに/なぜ傷つけてしまう同じ跡》という言葉も《変わりたくって変わらない気持ち》という言葉も、夏油の形容しがたい葛藤やどうしようもない苦しさを見事に表している。真面目で優しい夏油だからこそ、呪術師という世界で彼は笑えなかったんだ。そんな世界に添える崎山の優しい声と暖かいアコースティックギター、美しいバックバンドの演奏が、たくさんの傷を負った「懐玉・玉折」を優しく包み込むようだった。

演奏後には、崎山と榎木のトークへ。榎木が「より呪術廻戦の余韻に浸れる」と感想を語り、崎山は「夢のよう」「貴重な経験」と謙虚に感想を語った。

中村悠一、櫻井孝宏、遠藤綾による「じゅじゅさんぽ  みなとみらい  in 2006」

引用:『呪術廻戦』アニメ公式 X

さっきまでの胸が痛くなる空気から一変、イベントオリジナルのミニ朗読劇が繰り広げられた。

懐玉・玉折編の時系列でもある2006年のみなとみらいを舞台にした朗読劇。3人で任務にきたものの"肩慣らしにもならない"程度の任務だったため、余った時間でみなとみらいを堪能する!という学生らしいひとときだ。「あ〜、こんな平和な時間もあったのかな〜」なんて思ってしまう。

そして、博識な夏油が喋る度に五条が人気TV番組「トリビアの泉」で生まれた"へぇボタン"を押下するもんだから、中村が「へぇ〜」という度にマヌケな効果音が流れる。どうやら昼公演よりも「へぇ〜」増し増しだったようで、思わず中村が自分で笑ってしまう一幕もあった。そして別の任務で来ていた七海が途中で合流し、4人でミニ朗読劇を披露するという流れで、豪華なじゅじゅさんぽは幕を閉じた。

毎回恒例の徹底討論!あなたはどっち派?

引用:『呪術廻戦』アニメ公式 X

ここからは毎年恒例の「徹底討論!あなたはどっち派?赫vs蒼 2024」がスタート。これは呪術廻戦にまつわるお題に対して、討論を繰り広げるというコーナーだ。
声優陣は事前に回答を準備しており、観客はその場で選んでペンライトの色を変える、というシステムになっていた。

第1問「体育祭の騎馬戦で一緒に組むなら?」

引用:『呪術廻戦』アニメ公式 X

あなたならどうだろうか?
これをパッと見た時に私はAがいい、と思った。なぜなら、Bは皆乗り気じゃなさそうだから。Aの方が虎杖・釘崎を初め、伏黒もなんだかんだノッてくれてワイワイ楽しく一致団結してやれそうだな、と思ったから。

しかし、ひとつ忘れていた大事な設定がある。それは術式だ!
Bを選んだ内田が「五条先生を担げばハチマキ取られないはず!!」というメッセージをオープン。そうだった……と思った私と同様に会場も納得の様子。しかも同じくBを選んだ中村が「触れる直前になったら無量空処しますし?」とチートな発言をしたことによって会場は大笑い。そんなの絶対に強いな……と思った時に、Aチームが反論をする。

Aを選んだ榎木が「でも、五条先生1人に任せていいんですか?」と言い、同じくAを選んだ島﨑がすかさず「だって、体育祭って皆で協力して目標を達成することが素晴らしいんじゃないですか!」と力説。そしてBを選んだ津田に対して「いいんですか?"あの人ひとりでよくないですか?"になっちゃいますよ!」と原作のセリフを引用して反論した。見事な意見だ。しかし津田が「勝ち負け大事だから。」と冷徹に返し、そのセリフに周りが「シビアな大人だ……!!」と大盛り上がり。

その後も白熱した討論が繰り広げられるなかで、Aを選んだ東堂葵役の木村昴が「そっちね、勝ちに拘りすぎ!」と切り込み、「体育祭は思い出作りでしょ!」と言い切ると、会場のペンライトは一気に青色から赤色へ変化していく。さらに島﨑も「このチーム(A)は行事に対してシャイな子も解放してくれそう。あっち(B)は多分切り捨てる」と畳み掛ける。すると中村が「夏油さんはそういうところがあるかもしれませんけど〜。シャワー浴びながら、前日の夜に"猿め"って言ってるかもしれない」とキャラクターならではのエピソードを出して笑いを誘った。大盛り上がりの討論会だったが、最終的に1問目の結果は引き分けに!しかし、Aチームの追い上げが素晴らしい展開となった。

第2問「休日の過ごし方のプラン、一つ選ぶなら?」

引用:『呪術廻戦』アニメ公式 X

事前に決めていた回答通りに声優陣が分かれると、なんと櫻井がたったひとりでCの陣地に立つことに!その結果に慌てた島﨑が必死に謝りながらBからCへ移動する、という展開が最初から会場中の笑いを誘った。

そしてまずはBを選んだ遠藤の理由がビジョンに映される。それは「七海建人の部屋着が見たい!七海建人の前髪を下ろしたところが見たい!」というもの。これには会場全体が共感していた。

さらに遠藤が「優しい色の部屋着を着て、ちょっとダラッとしててほしい」「前髪も7:3じゃなくて、乱れててほしい!」「即席麺とかも3分なのに3分10秒とかになってほしい!"あ、いけねぇ"みたいな、おうちではやってほしい!」と畳み掛けると、会場のペンライトは一気に青色へ!これに対し、Aを選んだ津田は「七海は油断しそうですよ、髪型乱れるかな?」と反論するものの、遠藤はさらに楽しそうに「乱れたい!」「髪型くしゃくしゃ〜ってしたいよね!」と観客にも問いかける。すると遂に津田がBへ移動!これには大盛り上がりだった。

そしてもちろんAを選んだ木村が、東堂プランを熱弁。同じくAを選んだ中村が「ライブ終わったら語り合うんですか?」と聞くと「その日の夜に高田ちゃんが番組に出てるかによる。出てたらリアタイと録画両方観るから!」と原作通りの回答をし、さらに「その場合は東堂んちに皆を呼ぶ!」と楽しそうな提案をした。そうすると目の前の観客が赤色に変わり、盛り上がるAチーム。しかし、目の前の観客しか変わっていないことに気づいた中村が「ここだけ熱にあてられて変わったんじゃない?(笑)」とツッコミ、大爆笑!

そんな盛り上がるをみせるなか、話題は気になるCプランへ。ひとりで選んだ櫻井の理由は「この状況がホラー映画」というものだった。夏だから好きなホラー映画を見たいな、と考えた時に、真人いるならもうその状況がホラー映画だな、と思って選んだらしい。しかし、いると思っていた島崎はBにいってしまうし、たったひとりしかいないし……と、遂に「俺もナナミンの前髪ぐしゃぐしゃにしてぇよ!」本音を零しBへ移動!

勢いづくBが、Aから更に誰かを引っ張ってこようとして榎木を誘い込む。しかし「俺、高田ちゃん好きなんですよね。やっぱりケツとタッパがでかい女の方が。」と虎杖さながらの回答で回避。「ツダケンさんが相談乗ってくれるよ?!」と言っても「俺、さっき楽屋でツダケンさんとしか話してない(笑)」と仲の良い裏話を公開した。そうして、最初の遠藤のプレゼンを誰もひっくり返すことはなくBが圧倒的な勝利を飾り、討論会は幕を閉じた。

緒方恵美からのビデオレター!

次のアフレコへ移る前に、とある方からコメントが届いています、ということでビジョンに注目する。そして「虎杖悠仁は僕が殺します」というアニメ2期最後の名言から始まったビデオでは、乙骨憂太の声優を務めた緒方恵美からのコメントが披露された。

コメントの内容は、アニメ2期最終話のアフレコ裏話。劇場版以来久しぶりの登場ということ&乙骨自身も成長を遂げている、という観点から収録には時間がかかるんじゃないかと心構えをしていたものの、意外とあっさり終わり、逆に不安だったという心中を明かした。

ビデオはそれだけでなく、ひとり討論も繰り広げられた。1問目は先程と同じ、休日プランのお題で、これに緒方は「悩むなぁ……」と言いながらも、Bについては「熟年夫婦みたい」「単純にツダケンとドラマの話をして終わる」といい、Cについては「映画鑑賞している間に変えられちゃうと困る」ということで、Aを選択。

そして2問目は「超親友(ブラザー)になるなら、次のうち誰?」というお題が出題された。選択肢は以下の3つだ。

A:虎杖悠仁
B:東堂葵
C:乙骨憂太

これに対し緒方は、悩みながらも「激アツで頼りになるのは東堂。面白いのは虎杖くんだと思いますが、一応これにしておこうかな」と、乙骨を選んだ。

アニメ2期にはそこまで登場シーンはなかったものの、最後の最後でとんでもないインパクトを残した乙骨。続くアニメ3期、死滅回游編では、あんなことや、こんなことが待ち受けている。劇場版の時とは技量も精神力も変わった乙骨の演技に期待大だ。

渋谷事変の生アフレコ〜前編〜

緒方のコメント動画を終え、生アフレコは渋谷事変へ。

悲しい音楽が流れ、画面には暗く、荒れ果てた渋谷の絵が何枚も映る。そして、ひとりぽつんとスポットライトを浴びた榎木淳弥が様々なセリフを吐いていった。それはどれも虎杖の死生観に関わるような言葉ばかり。1話のセリフや、呪術師になる直前のセリフ。そして吉野順平の時との会話や、起首雷同編の言葉、そして渋谷事変の1番苦しい時のセリフ。それぞれ違う心情の言葉を、立て続けに並べていくのは相当難しいはすだ。しかしそれら全て、瞬時にスイッチを切り替えるように演じる榎木の器用さに早速感動させられた。

そうして始まった渋谷事変生アフレコ、最初のシーンは五条が獄門疆に封印される場面だ。「獄門疆、開門」という櫻井の声は、夏油を演じてた時とは違う、羂索の嫌な雰囲気が含まれていた。アニメを観ていた時から驚いていたが、改めてその演じ分けに鳥肌がたった。

また、中村も中村で、過去編から12年も経過した大人の五条を演じている。ただ、目の前には自ら手をかけたはずの親友。脳内に溢れ出した3年間青い春のせいで、喋り方や表情が学生の頃に戻るシーンだ。その繊細な心情が見事、声に反映されていて思わず泣きそうになった。親友の遺体を弄ばれて怒りに満ちた「俺の魂がそれを否定してんだよ!さっさと応えろ、お前は誰だ!」というセリフを目に火を灯すような真剣な表情で放つ中村。その姿はまるで、本当に五条が乗り移ったかのように見えた。

続いて演じられたのは、虎杖&伏黒が粟坂二良と戦うシーン。冷静に相手の術式を見破り、戦略を立てる伏黒と、パワーもありながら器用な戦闘をみせる虎杖。そんな2人が見事に力を合わせて撃破する、今やもう懐かしさすら感じられる共闘が見事な掛け合いと生演奏で披露された。

そして場面は、七海vs重面春太へ。このシーンは七海の"ブチ切れ具合"が見どころだ。七海の冷静さは残りつつも、心の奥底でフツフツと何かが煮えたぎっていることを感じさせる声。ゆっくりと、低い声で「仲間の数と配置は」というセリフの圧に、誰しもが釘崎と同じ「レベルが違う…」という感想を抱いたと思う。

次に繰り広げられたのは、まさかの、やらないと思っていた虎杖vs脹相のシーンだった。ここはなんといってもBGM・REMEMBERとの相性が最高である。バックバンドの紹介を挟んで、音楽はゆっくりとクライマックスへ!起首雷同編の時と同じ、音のハマり方がめちゃくちゃ気持ち良いBGMだ。それを生演奏で映像とピッタリ合わせつつ、そのうえで生アフレコを加えてやるのだから、"正に神業"だなと思った。

続いて演じられた陀艮の領域のシーンでは、伏黒が領域展開をして助けに入り、限界ギリギリの声で演技をする。そこに加わる津田の必死な声も相まってボルテージはどんどんあがっていき、続いて家入と学長が話すシーンへ。さっきまで高い声で話していた高校生時代の家入とは違って、しっかり大人の声になった遠藤の演技が素晴らしい。そして伏黒が「すぐそこに家入さんがいる。今、無理を利かすなら自分自身!」と言葉を吐き、見事な流れでvs伏黒甚爾の名シーンへ!子安さんはいなかったが、何度聴いても甚爾の「良かったな」というセリフはこれ以上にない言い方だと思う。

渋谷事変の生アフレコ〜後編〜

一度間を置いて榎木のトークを挟み、生アフレコは渋谷事変の後半戦へ。そこでMCの松澤からペンライトを青色にするように案内があった。会場は一面、綺麗な青色になる。そこに登場したのは、津田。「フー……。マレーシア……そうだな、マレーシア……クアンタンがいい」と呟く。これから渋谷事変屈指の絶望シーンが始まるというのに、会場は海になったように綺麗だった。
漏瑚に半身を焼かれた七海が、大量の改造人間相手に必死に呪具を振り回していく。津田は顔を歪め、大きく体を動かしながら、必死に叫び続けた。その姿は本当に七海そのものに思えて、今あるすべての力を出し切ろうと言わんばかりの熱演だった。観客は息を飲みその姿を見つめる。

そして、遂にきてしまった。七海の後ろに真人が。死を悟った七海が穏やかに「いたんですか。」と呟く。真人も「いたよ、ずっとね。ちょっとお話するかい?」と不気味なほどに優しい声で答える。その様子を遠くから、ボロボロになった虎杖が見ていた。声優陣は榎木、津田、島﨑が横並びになる。絶望の表情をする榎木と、全てをやり切ったような顔の津田。そんなふたりとは対照的にニコニコと笑顔で立っている島﨑がまた、真人実写版のようで鳥肌が止まらなかった。

七海が死の間際に、亡き親友・灰原と会話をする。少し枯れたような声と、震える息。静かな会場。悲しい表情の榎木と、不敵な笑みを浮かべる島﨑。まさにここで渋谷事変が起きているかのような張り詰めた空気感だった。そんななか、津田が遂にあの名言を吐く。ゆっくりと優しく穏やかに「虎杖くん、後は頼みます」と。最後は七海と同じように、少し眉を下げ、僅かに笑みを浮かべていた。

大好きな恩師を目の前で殺害された虎杖。しかも、このシーンの前には宿儺に体を乗っ取られ、大量殺害を犯している。このままではただの人殺しになってしまうと、もっと多くの人を助けなければと思い、ようやく歩き出した先での出来事だ。到底、理解できないような絶望だろう。それを榎木は「なんなんだ……?お前はァァァ!!なんなんっだ、真人ぉぉぉぉぉぁぁぁぁ!!!」と全力の叫びでぶつける。それに対して島﨑が更に大きな声で「でけぇ声ださなくても聞こえてるよァァ!!虎杖悠仁ィィィィァァァ!!」と言い返す。分かっていたけれど、ここまでの迫力なのかと気圧された。会場がビリビリといいそうなくらいの声量で、全身の鳥肌がしばらくおさまらなかった。

絶望展開はまだまだ続く。
シーンは釘崎vs分身真人へ。ここは釘崎のカッコ良さが見どころだ。「ずっと考えてたんだ。あんたの術式聞いた時から、これは効くんじゃないかって」と満を持して共鳴りを打つ釘崎。すると、遠くで虎杖と闘っていた真人本体にダメージが入った。その現象に対し「妙だな。遠くで私の呪力が爆ぜる感じがした」と言う瀬戸。この時の眼差しが鋭くて、本当に釘崎を見ているようなカッコ良さ、逞しさを感じた。そして、逃げる分身真人を追いかける釘崎。そうして辿り着いたのは、本物の真人と虎杖が闘っている場所だった。そこで虎杖を見つけて「虎杖?!」と言う瀬戸の顔が、本当に虎杖を見つけたような表情をしていて、この先の結末を知ってる私は「逃げて……!早く……!」という気持ちになった。そんな気持ちを代弁するかのように榎木が「逃げろォォォ!!!釘崎ィィィィ!!!」と絶望の顔で必死に叫ぶ。ここは本当に爪の痕がつくくらい拳を握り、椅子から落ちそうになるくらい前のめりで見入ってしまった。

そんな決死の叫びも虚しく、真人の攻撃をくらってしまった釘崎は(心象風景として)多くの椅子に囲まれながら、自分の人生を振り返るシーンへ突入。ここは七海の最期に引き続き渋谷事変屈指の絶望シーンであり、釘崎らしさが詰まった最期だ。「ふみ、ごめんね。約束守れなくて」というセリフを瀬戸が少しだけ笑ったような顔で言い、一方で絶望する虎杖に向かって言った「虎杖、みんなに伝えて」は、少しだけトーンを落として吐いた。
だが、そこからもう一度カッコイイ笑顔を見せてから、「悪くなかった!」と言い切る。なんて、なんて逞しく、かっこ良い終わり方なんだろうか。もちろん絶望な展開であることには変わりはない。しかし瀬戸が演じる姿を見て改めて、釘崎の心の強さや、呪術師をやる上での覚悟をひしひしと感じることができた。これにはいよいよ涙が止まらなかった。

そこから場面は変わり、完全に心が折れてしまった虎杖のことを東堂が助けにくるシーンへ移る。かっこよ過ぎて笑ってしまうくらいの最強BGMに「祇園精舎の鐘の声……」というお洒落なセリフでの登場。絶望に染まった会場を照らすような木村の演技に、気持ちがふっと軽くなるのを感じた。

木村は、地声が東堂と全然違うから本当に凄いと思う。いくつものチャンネルを切り替えできるというか。討論会をしている時の声を聞いていると全く東堂が浮かばなかったけれど、やはりアフレコになると確かに木村の口から東堂の声が出ている。これも当たり前っちゃ当たり前なのだが「本物だ……」と感動せずにはいられなかった。

そうして、なかなか長いセリフを完璧に言い切り、虎杖を奮い立たせると、いざ真人戦へ。島﨑が台本を見ずに両手を広げ「話は終わったか?チョンマゲゴリラ」というシーンは、動きまで真人とピッタリでゾクゾクした。そして感情を凪のように一定に保って冷静に闘う東堂に対し、黒閃をキメたことでハイになっている真人は「あれをもう一度決めたい!もう少しでたどり着ける気がする!俺の魂の本質へ!」と叫ぶ。島﨑はこのセリフを最高の声で演じた。これでもかというくらい、真人の狂気じみた戦闘に対する欲求を声にのせていた。人を殺すことが快感でたまらない!というような、ワクワクに満ちた踊る声。なんでそんな声を出せるのかと、開いた口が塞がらなかった。アニメで見ている時から島﨑の演技には度肝を抜かれていたが、口角をあげ、目をカッ開き、肩を上げて言い切るその表情があまりにも実写版真人すぎて憑依しているように見えた。

そんな島﨑の迫真の演技に目も耳も奪われているなか、虎杖が涙の粒を落としながら「ごめん、ナナミン。楽になろうとした。罪すらも、逃げる言い訳にした。」と言う。榎木が本当に泣いているように見えた。ボロボロ涙を流しているようにみえる表情と声だった。そして、黒閃を放ったあとに心の底から絞り出すような細い声で「俺、ナナミンの分まで、ちゃんと苦しむよ」と言う。この苦しい言葉を聞いて改めて、虎杖悠仁役が榎木淳弥で本当に良かったと思った。榎木が虎杖にしか見えなかった。胸がギュッと締め付けられるような気持ちになる演技に、圧倒された。

そんな怒涛の展開を見せる渋谷事変に、更なる展開が加えられる。それは東堂の簡易無量空処(?)だ(笑)。ここではサプライズゲストとしてまさかの高田ちゃん役、黒沢ともよがセーラー服で登場し「最高潮☆JUMPING!」をフルサイズ生披露!ステージ上の榎木は全力でダンスをし、木村は両手を挙げて高田ちゃんのライブにノッていた。そんな2人を島﨑は棒立ちで見つめている。そのシュールな構図がものすごく面白かった(笑)。このシーンについて、生アフレコ後のアフタートークでは島﨑が榎木にファンサをされていたことを明かしていた。そして、絶対反応しちゃダメだ!と思って無言で見ていたそうだ(笑)。永遠に闇が続く渋谷事変のなかで唯一息ができる、そして笑える最高のシーンだった。

遂に、渋谷事変もラストシーンへ。虎杖と遍殺即霊体になった真人。お互い持っている力をすべて振り絞りながら戦い抜く。最後、東堂のアシストもありながらキメた黒閃を、榎木がこの日1番の雄叫びをあげながら演じ、やられる真人も大迫力の声をあげた。ふたりの声が会場中に響き渡る。ものすごかった。私だったらもう、身を捩ったりしないと出なさそうな声を、2人とも姿勢よく台本を持ちながら叫び通していた。プロの技だなと思った。本当に、感無量だった。

真っ黒になった画面には呪術総監部からの通達が流れる。そして、ひとり呪霊狩りに向かった虎杖が橋の上でパンと手を叩くシーンが映り、ステージ上で榎木が同じように手を叩いて、生アフレコは全てを終えた。

怒涛の渋谷事変の生アフレコは聞いているだけでもカロリー消費が激しく、ちょっとぐったりした。そんななか司会の松澤が登場し、スペシャルバンドの紹介を経て黒沢ともよのインタビューへ。最初は高田ちゃんになりきって明るくキャピキャピしたテンションで話していたものの、途中からいきなり素に戻り、これには会場も大笑い(笑)。アニメ収録時、挿入歌を頼まれた時はこんなハラハラする渋谷事変の「いつ?!どこで?!」歌うのかと戸惑ったそうだ。そんな裏話をたくさん話し、会場を盛り上げて、黒沢はステージを後にした。

榎木淳弥、内田雄馬、瀬戸麻沙美による「じゅじゅさんぽ  みなとみらい  in 2018」

引用:『呪術廻戦』アニメ公式 X

前半に行われた中村、櫻井、遠藤のミニ朗読劇の2018年バージョンが榎木、内田、瀬戸によって演じられた。

先程までの地獄すぎる世界が嘘のような、榎木の「みなとみらい、きたー!!」という明るい声で始まったじゅじゅさんぽ。赤レンガ倉庫をみて「ここはもうヨーロッパね!」という釘崎に「イエス!」という虎杖、「いやここは横浜だけどな」とマジレスする伏黒。そんな1年ズらしいやりとりに、2006年バージョン同様「あ〜、こんな平和な時間もあったのかな〜」なんて思ってしまう。

終始はしゃぐ虎杖……を演じる榎木。なんだか、怒涛のアフレコから開放されたことを喜んでいるように見えた。あまりにも朗読劇が楽しそうだったから。それがちょうど、仙台から上京してきた虎杖が初めてのみなとみらいに浮かれまくっているようにも見えて、どちらにせよホッコリする気持ちになる。そんなハイテンションな虎杖に呆れながらもウキウキしてる釘崎と、完全に呆れながらも結局合わせてあげる伏黒。そんな空気感が声優3人からそのまんま溢れていて、これもまた実写版のようで凄く良かった。

そしてはしゃぐ3人のところに、なんと高田ちゃんのライブ帰りの東堂が登場!さらには東堂の妄想として登場する高田ちゃんを黒沢ともよが演じるという豪華っぷり。最終的にふたりにさせられてしまった東堂と虎杖は最後、「ふたりでここで騎馬戦でもするか?」「それじゃただの肩車になっちゃうよ!」というやりとりをしていたが、これはおそらくアドリブだろう(笑)。台本をじっと見つめるというより、お互いを見て半分笑いながら行うカジュアルな朗読劇に、さっきまでの怒涛の展開でやられた傷が癒えていく感じがした。

エンディング

そしてイベントはエンディングへ。出演者が全員揃い、アフレコの感想を述べた。

中村は「本来アフレコは他の音が入らない状況のなかでやっているけれど、今回は音楽を生演奏でやって頂きながら演じるなかで、気持ちの入り方とか受ける印象も凄く変わった」  「それで今回の演技がテレビ版と変わったかもしれないけれど、皆さんの前でやるにあたってそういう表現になったと感じて貰えれば。」  「環境で、僕たち自身も何周も何周もする事によってそのシーンを考え直したりしていくんだなと、改めて感じました」と貴重なコメントを残した。

また瀬戸は、釘崎の最期のシーンについて「ファンの皆さんが凄く大切にして下さっているシーンだということを分かっていたので、今日ステージで生アフレコをさせて頂いた時は、皆さんからの色んな気持ちをひしひしと体で感じながらアフレコをさせてもらった」と語った。

初参加の島﨑については真人愛を語り、高田ちゃんのライブについて「あんぐり口をあけて見ていた」と話し、榎木は五条が獄門疆に封印されるシーンを収録現場では見ることが出来なかったらしく、初めて生で見れてファンのように感動したと語って締めた。

そこからは怒涛の発表づくし!劇場版の公開決定や28巻の表紙先行公開、週刊少年ジャンプ2024年39号の巻頭カラー先行公開など、大盛り上がり。これらは全て『呪術廻戦』アニメ公式 Xをチェック!

終演後アナウンスで最後まで大爆笑

内容盛りだくさんのじゅじゅフェス2024が幕を閉じ、キャスト陣が手を振りながら退場。

本当に凄かったな……と余韻に浸る中でビジョンに映ったのは、アニメ1期第18話のじゅじゅさんぽで登場したギャル真人だった。「あたしもぉ〜、同じクラスの漏瑚とか花御とかと一緒にぃ〜みなとみらいいたかったなぁ〜〜〜?あ〜〜でもォ〜せっかくなら彼氏とのデートの方が良さげ?ウフフフフフフフ♪」と高らかな笑いをし会場は大爆笑。何度聞いてもおもしろすぎる。そして最後には「あ、みんな、もう帰る時間?!あら〜やだ〜わたしったら〜〜!ごめん遊ばせええええ〜!」とアニメ第2期 第11話の予告編で大ウケしたセリフも投入。島﨑信長が最後の最後までMVPだった……。

最後に

今回、人生で初めて声優の生アフレコを体験して、あぁこんなにもまだ知らない世界があるんだと、嬉しく思った。こんなにも凄い人が沢山いて、色んな才能を持った人が溢れている。それを知れたことにこの上ない喜びを感じた。

今回、じゅじゅフェスに行こうと思ったのはとあるシーンがきっかけだった。それは渋谷事変のいち場面。釘崎野薔薇が倒れ、絶望する虎杖を真人がボコボコにするシーンだ。「どうせお前は!害虫駆除とか!昔話の妖怪退治とか!その程度の認識でここへ来たんだろ?甘ぇんだよクソガキが!これはな!戦争なんだよ!間違いを正す戦いじゃねぇ!正しさの押し付けあいさ!ペラッペラの正義のな!」というセリフ。ここだけじゃなく、この後に続くセリフまで全部に震えた。今、これも何も見ずに打っている。もうセリフを覚えてしまった(と言いながら間違っていたらすみません)。ここの演技を初めて聴いた時、それはもう耳が痺れる程の驚きがあって、真夜中にアニメをリアルタイムで見ながら両手で口を抑えて固まったのだ。なんってすごい声なんだ、と。全身の鳥肌がとまらなかった。

今回、それを生で観られるんじゃないかと思ってチケットをとった。しかし、このシーンだけが綺麗にカットされていた。

話は少し逸れるが、じゅじゅフェスに行く数週間前にとある声優がラジオ番組である話をしていたのだ。それは、某シーンの収録があまりにもすごいシーンで大泣きしながらやった結果、記憶がないと。もしこれをイベントで生アフレコしてくださいと言われても、申し訳ないけれどできない、と。そういう話だった。

勝手な憶測だけれども、島﨑さんもそうなのかもしれない。というか、そうであるべき、と思うくらいあのシーンは怒りと高揚にまみれたヤバすぎる音なのだ。だから、このシーンを見たかった気持ちはもちろんあるけれど、やらなかったことによって、逆に二度と再現できないくらいの唯一無二の声だった、というような気もして嬉しい。真人(CV.島﨑信長)のお陰で声優の素晴らしさに気付かされたようなもの。あっぱれ。そしてもちろん、島﨑のみならず私に初めての感動を与えてくれた声優陣8名に大きな拍手を送りたい。

p.s
呪術廻戦の原作は.これを書いている今、残り4話。あと10分以内に最新話が読める。ちなみに、じゅじゅフェスを見た夜に267話が公開されたものだから、それはもう……凄い感動だった。寂しい。けれど、最後まで見届けるのがとても楽しみ。


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