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文芸部誌「うわごと」
2020年5月15日 12:22
『虚夢十行』 〜ボンドの夢〜 親指と人差し指の間で乳白色の粘り気が脈を打つ。隙間からあぶれたボンドをものぐさに指で拭ってしまったばかりに未だこの粘着力からは解放されない。指をこすり合わせ、違和感から脱出を図ろうとすれば、日本の指の腹の間では薄い乳白色のこよりが少しずつ育っていく。 日射しがカーテンのない窓から入り込み、剥き出しの眩しさや熱さが締め切り間近の宿題の作品を照らす。謎の使命感