第2回:SORABITO ビジョンの礎になる事業づくりの可能性
SORABITOのビジョン・バリューのアップデート特集の第2回はミッションの中間目標であるビジョンの紹介です。事業づくりを推進する青木(会長)と博多(社長)の2人に話を聞きました(それぞれのプロフィールはこちらです。他の社員の情報も載せています)
初回(ミッション編)、最終回(バリュー編)の記事も是非ご覧ください。それでは始めます!
新ビジョンに込めた想い
▶︎ 建設現場だけが現場ではないSORABITOらしい色
まずはSORABITOのビジョンの紹介です。
ービジョンは、年明けから「建機レンタルをもっとスマートに」から「建設のあらゆる『現場』をスマートに」に変わりました。建機レンタルから建設業により範囲が広くなった印象を受けましたが、ビジョンに込めた想いを教えてください。
青木:
2014年の創業期から建機レンタル業界とお付き合いがあり、かつ、僕のバックグラウンドである建設業に関わる地元愛知の知人・友人の話も沢山聞いていたので、2つの業界を結びつける構想はぼんやりと持っていたんです。
SORABITOとしては、アジア圏を中心に150ヶ国以上でご利用いただいている中古建機のオンライン取引所「ALLSTOCKER」からサービスを始めたものの、建機レンタル業界の皆様と会話する中で、業務課題が多いにもかかわらず解決できるソリューションがないと感じました。そこで、建機レンタル業界向けにサービスを作ろうと決意し、建設機械の調達DXにつながる「i-Rental」の開発プロジェクトを2017年6月から始めました。
プロジェクトを始めて確信したことは、我々が取り組む「建設機材の調達管理」という分野は、建設と建機レンタルを1つのサービスに巻き込むことが課題解決に必要だということでした。
それを表現したのが以下のスライドであり、3つのフェーズに分けてやっていこうと整理しています。建設のあらゆる現場に関わるDXをテーマに、発注側の建設現場と受注側のレンタル会社をつないでいこうと考えたわけです。
実現したいテーマが明確になったのが2021年であり、その前後で事業成長に貢献してくれるキーマンが続々と入社してくれました。SORABITOメンバーが力を発揮し始めるタイミングでしたし、今後5年でメンバーが足並みを揃えて全力で進めるように、ビジョンをアップデートすることにしました。
博多:
「i-Rental」という建機レンタル会社向けのサービス自体がビジョンを体現していると思っています。つまり、僕らは建設現場のDXだけをやりたいのではなく、「建設に関わるあらゆる現場のDX」をやりたいんですね。建設現場だけが現場ではないというのが我々らしい色なんです。
建機レンタル業界の重要性を理解し、そこも現場だと意識しているので、i-Rentalは建設会社、そして建機レンタルも使うサービスにしています。
ー新しいビジョンが生まれるまでの歴史をもう少し掘り下げたいのですが、ビジョンの構想を固めるまでどのように進めたのでしょうか?
青木:
建設機材の調達業務をオンライン化することをまず構想したため、フェーズ1の受発注に焦点を当てる点で異論はなかったのですが、具体的なサービスイメージは決まっておらず、どうやって建機レンタル業界に受け入れてもらえるかを模索し始めました。
その結果、発注業務のオンライン化だけではなく、注文を受けた後のレンタル会社の業務が非効率であるという課題の大きさに気づきました。つまりフェーズ2の部分です。レンタル会社からすれば、内部業務の効率化をより求めていたわけです。発注と受注はオンラインレンタルで必ずセットになることもあり、「i-Rental 受注管理」(以下「受注管理」)から開発を始めることにしました。
一方で、2021年2月には「i-Rental 注文アプリ」(以下「注文アプリ」)をまず発表したわけですが、注文アプリはプロジェクト開始から4ヶ月弱で対外公表しています。我々が急ぎ取り組んだ背景には、コロナ禍で建機レンタル会社が建設現場に営業訪問できなくなり、その結果、建機レンタル各社がオンラインレンタルを真剣に検討し始めているという声があり、我々を後押しする材料が明らかに揃っていたため、時流を逃してはいけないと判断したことがありました。
ただし、我々も焦って出したわけではなく、受注管理の開発を通じて、時間をかけて建機レンタル業界で築いてきた豊富な経験があったからこそ、このスピード感で発表できたと思っています。SORABITOではレンタル会社との密なコミュニケーションが圧倒的に多いので、注文アプリはプロジェクト開始時点で機能イメージが出来上がっていたんです。
博多:
フェーズ3の建設現場のDXについては、2020年秋に建設会社にヒアリングした際、注文アプリのサービス構想自体は上手くいくと確信を持てた一方で、建設現場の中で起きている課題解決につながるサービスも追々必要になると感じたことがきっかけでした。
青木:
たしか博多さん、遠藤さん(プロダクト本部長)、僕の3人でヒアリングした時ですね。注文だけではなく、建設現場の中で必要な資機材管理やレンタル機械の稼働管理が業務効率化の鍵になるというインサイトがあった。鳥肌モノでしたね。この辺りの詳細は機会を改めて話をさせてください。
ビジョンの裏側:SORABITOの独自性
▶︎ 建機レンタルと建設会社双方の理解が必要な調達管理の難しさ
ー建設テックは「施工管理」「調達管理」に大きく分かれる中で、SORABITOは機労材(建設機械・労働力・材料)を中心とした「調達管理」というセグメントに属していて、建設テック企業の中でもかなり特殊ですよね?
青木:
施工管理の場合、サービスのユーザーは建設会社になり、また工事職種が何十もあって、それぞれの市場規模も大きいため、個別に最適化されたサービスが生まれます。つまり、フォーカスすべき課題が明確です。
一方、調達管理については建設現場でレンタルしない会社はいないし、ゼネコンから中小の建設会社まで多種多様なユーザーが無数に存在するため、業務課題がとても幅広いんです。それに加えて、調達元のレンタル会社の業務まで理解した上でプロダクトを作らなければ使い物にならないため、参入障壁がとても高いカテゴリーだと思います。
博多:
素直に言えば、建機レンタル向けに事業を始めたこと自体が差別化の一番の要因です。調達管理からやろうという高尚な考えがあったわけではないんですね。
1つ言えることは、施工管理から調達管理に参入するのはとても難しいとは思います。仮に調達元のシステムが重要だと思って開発しようとしても、レンタル業務がとても複雑なので、0から作ることはまずしないかなと思います。SORABITOはたまたまでしたが、調達元のシステム開発から入って時間をかけて業務理解を深めたからこそ、発注する建設会社にスムーズにつながっていけたと思います。建機レンタル会社に協力してもらえる戦略を取れたことで、調達管理に参入できたわけです。まさに急がば回れだなと思いますが、何より青木さんが建機好きだからこそ取れた戦略ですよね。
青木さん:
運命ですね(笑)SORABITOの場合、8年にわたり建機レンタル業界向けの事業作りに取り組んできたこともあり、レンタル会社の皆様が心を開いて協力してくれ、沢山の現場を見せていただきました。その協力なしではサービスを作れなかったと思います。
そして、協力してもらえた要因として、SORABITOのメンバーがオープン・フェアネスを重視していることも関係していると思います。この業界だけではなく、他の業界で活躍してきた人がSORABITOに入り、専門性を発揮して力を合わせて課題解決に取り組んでいます。やるからには業界のために「仕組みづくり」をするという発想があって、そこに賛同していただける企業にご協力いただきました。普通は各社独占でやりたがると思いますが、「業界の未来のため」にという視点で皆さんに助けていただけました。
▶︎ 建機レンタル会社と共に歩むSORABITOの事業づくり
ー先程の建機レンタル会社の皆様のご協力という観点で、注文アプリの西尾レントオール様、受注管理のキナン様、そしてi-Rental AIのアクティオ様など、業界の大手レンタル会社と共にサービスづくりやプロダクト開発を進めてきた歴史があると思います。SaaS企業にもかかわらず、面白いスタイルだと思います。
博多:
最初からこのスタイルで開発しようと思っていたわけではなく、レンタル会社の皆さんも課題解決をしたくて、SORABITOに色々教えてくれる機会をいただきました。それに対して思いついたアイデアを持っていくと、更に他の現場もご紹介いただける流れができました。
この流れを繰り返すうちに、我々のソリューションが出来上がり、レンタル業務の課題をしっかり理解できているため、1stユーザーとして乗っていただけたわけです。業界に求められていると分かっているものを開発していることが我々の強みかと思います。
ーもう1つSORABITOの特徴として、複数のサービスを同時に立ち上げているというのがあって、この規模のスタートアップでは珍しいと思います。これはどういうポリシーで取り組んでいますか?
青木:
ビジョンを作るにあたり、建設と建機レンタルの色々な課題を痛切に感じていて、すべての課題を解決するためには1つのサービスだけではやはり限界があります。建機レンタルと建設の双方の課題を解決するためには、先ほど話した3つのフェーズが最低限必要という整理をしましたが、そういった背景から、SORABITOの人材には事業開発やプロダクト開発を得意とする人が集まっています。今の組織規模ならシングルサービスに1人のPdMという体制かもしれないですが、複数サービスに対応できる体制が整っていることもポイントだと思います。
博多:
個人的には、たしかにサービス名は違うものの、異なるサービスを沢山作っている感覚はないんです。それぞれのサービスで培った経験・知見の相関が強いので、体制的に無理なく推進できています。i-RentalはALLSTOCKERの顧客基盤を使えますし、受注管理も注文アプリも背後にある業務知識や顧客向けUIでは共通する部分が沢山あります。建設会社向けのサービスを始める上でも全く違うプロダクトというわけではなく、これまで培ってきたものを限りなく有効活用できる体制になっていますね。
顧客が好きだし、顧客のために何かしよう。そして、顧客が色々教えてくれるので、建設に関わるものであれば、DXにつながる新サービスを作っていこうというのがSORABITOらしさだと思います。その中で業界全体の負なのか個別の負なのか、その辺りの目利き力をSORABITOメンバーは有していると思っています。
5年後に実現したい姿
▶︎ 業界全体としてあるべき未来を実現する一助になりたい
ー今回の新しいビジョンは5年後に実現したい姿を示すものですが、5年後にどういう世界を作れていれば合格点でしょうか?
博多:
建設業界のあらゆる現場で働いている人達が、僕らのサービスだと意識することなく、当たり前に使っている状態になっていれば、今よりも仕事がしやすくなっているはずなので、そういう世界を実現したいですね。
直感的にはいけると思っていて、あとは、どれくらい幅広い業務にまでSORABITOのサービスが溶け込めるか。1日の業務の中でこの部分だけ使っているのではなくて、色んなところで実はSORABITOを使っているような存在になりたいと思いますし、調達管理の分野では少なくとも日本の建設業界では誰もが知っている存在になりたいんです。そして、この仕組みを海外でも使える状態にしていきたいと思っています。
ー今後5年で海外展開も視野に入るんですね。
博多:
5年というスパンでは視野に入ります。株主である住友商事や伊藤忠TC建機から海外の情報を提供してもらっていますが、SORABITOのソリューションは海外のレンタル業界でそのまま活かせると思っています。特にアジアはこれからレンタルビジネスが盛り上がるため、同じような業務課題が出てくるはずです。
ー再現性がとても高いビジネスモデルを作れているということですね。
博多:
そう思います。また、アメリカではSORABITOのようなサービスはないんです。業界最大手のUnited Rentalsが自前でオンラインレンタルサービスを提供しているように、業界の上位企業は自前で開発して提供しているわけです。日本はSORABITOというSaaS企業が介在することによって、地場の建機レンタル会社にも浸透していく仕組みが既に出来始めています。アメリカにはこのモデルがないため、自前でIT投資ができない建機レンタル会社は大手企業にどんどん買収されているわけです。ヨーロッパにもSORABITOのような会社は存在しないんです。
ーグローバルレベルでそうなんですね。これはワクワクする話です。
博多:
調達管理は本当に泥臭いので、この業界の業務が面白いと感じて、顧客が好きでなければ続けられない。IT企業としては本当に始めづらい分野なので、ここから事業を始める企業はいないんですよね(笑)
ー青木さんは、5年後のSORABITOがどのような存在になっていたいでしょうか?
青木:
博多さんの話と重複するかもしれませんが、SORABITOのサービスが建設や建機レンタル業界のインフラになっていることですかね。業界全体のあるべき未来を実現する一助になりたいです。
ビジョンで目指す姿をSORABITOの皆とディスカッションして、設計図を作っていく楽しさがこれから待っています。ワクワクする良いビジョンになっているのではないかと思います。
一方、5年で「あらゆる現場をスマートにする」というのは本当に壮大な目標なので、業界全体でのシナジー効果を意識していく必要があります。今回のビジョンは建設、建機レンタル業界にとってのビジョンでもあると思っていて、業界の皆さんが自分達の現場をスマートにしたいと思っていただける状態に5年でもっていきたいです。
SORABITOは商社2社の出資のおかげで海外の最新情報が入ってきます。そういう情報をお客様はじめパートナーに共有して、みんなで未来を作っていきたいと思います。
ー今まで知らなかった想いも沢山聞けて、とても楽しい時間でした。
次回はSORABITOのバリュー(ゴールに向けたメンバーの歩み方)をご紹介します。SORABITOで活躍するメンバーの特徴などにも触れていますので、最終回もご期待ください。
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