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「梅雨明け」のきらめき
「梅雨明けの瞬間」が好きだった。
7月のある日、小笠原気団が梅雨前線をぐいぐい押し上げはじめる。本州を覆っていた湿った空気が北上し、からりとした空気が南から入ってくる。まるで天の底がぐんぐんと上がっていくように感じられる。
「夏がはじまる」
ドキドキするあの瞬間はたまらない。
これまでにいちばん印象的だったのは、雨の扇沢から黒部ダムを経て、立山ロープウェイで大観峰へと登っていたときだった。ロー
小説というものを書いてみた
学校というところは「将来の夢」を書かせるのが好きだ。小学生、中学生で何度も書かされた。その中で、たしか中学生のころ、いちどだけ「作家」と書いたことがあるのを憶えている。たぶん本を読むのがが好きだったからだ。でも作家にはならなかった。どうやってなるのかもよくわからなかった。
いわゆる「作家デビューへの道のり」は知っていた。コンテストに応募して応募して応募するのだ。しかし、わからなかったのはそこでは