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愛してるよ、のお守り

ねえ、と話しかけられて
愛してるよ!と私は返事をする。
話の内容も聞かずに、なんの脈絡もなく。

そうすると夫も息子も全力で「愛してるよ!」と返してくれる。
そしてそこからまた本来の会話に戻る。

これは時も場所も選ばない。

職場の夫に諸用で電話する時も私は「愛してるよ!」と言う。
夫も現場の仲間が聞いていようが大声で「愛してるよ!」と返してくれる。

外国かぶれなわけではない。
ただ、私は家族をことばで守りたいのだ。

例えば「気をつけていってらっしゃい」という声かけは
呪詛の意味合いも含んでいるという。
声をかけた人が、かけられた人に対して
「無事で帰ってきてください」と祈っているのだ。

私の「愛してるよ!」はそれに近い。
もちろん大前提として、愛しているから言っている。

私が常日頃「愛してるよ!」と言うことによって
家族には「自分は愛されているんだ」と無意識に感じていてほしい。

夫は厳しい現場でいつ怪我をして急死してもおかしくない。
息子も毎日無事に学校から帰ってくるか心配でならない。
私だってスーパーの帰りに事故で死ぬかもしれない。
いつお別れがくるかは誰にもわからない。

だから、私のことばのベールで守りたいのだ。

無事にみんな帰ってこられますように。
そしてもし万が一何かあったとしても
「自分は愛されているんだ」と感じていてくれますように。

「愛してる」ってたくさん言い過ぎると
有り難みがなくなると言う人もいる。

でもそれは間違いだ。

口に出すたびに愛はどんどん増幅していくものだ。
増えることはあっても減ることはない。

私は今日も変わらず「愛してるよ!」と言う。


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