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おそるおそる、自作品の講評を読んで(第19回ちよだ文学賞)
第19回ちよだ文学賞の冊子が届いた。
待ちに待ったスプラッタ・タイムである。
プロの、それもプロ中のプロの小説家御三方に読んでもらった。
唯川恵さん、逢坂剛さん、角田光代さん。
名前を口にするだけでも震えそうな小説界の重鎮たち。
彼らの選評がのったこの冊子。
早く読みたいような、一度としても読みたくないような。
今日、おそるおそる読んでみて、驚きがいくつもあった。
そして、感動した。
◆
作品の特徴や、欠点を述べてくれる文章の裏側に、作者である私を見据えて語りかける声があった。文章を書いて読んでもらうことでしか顔みせできない私に、その文章の裏側に回ってきて、
「ここはよく分かる。こう書いてみたら?」
目を見つめて、そう語りかけてくれる。
文章書きのかまってちゃんである私には、それがすごく嬉しかった。
この文学賞はいい、とも思った。
執筆者に著作権はないというのが条件の、厳しい文学賞だけれど、いざ素敵な装丁が施された冊子になった私の小説を読むと――かわいらしい挿絵がつけられて立派な姿になったこの物語を読むと、私という「書く存在」をここまで認めてもらえる喜びや嬉しさを感じる。
ああ、私の小説が冊子になるって嬉しいな。
それを誰かが工夫して、イラストをつけてくれたり、講評を書いてくださる。それはすごくすごく嬉しいな。
そのために、小説を書きつづけるというのも、けして悪くはない。
強い批判はそりゃ辛いけど、読み直せば真実に至ることもある。甘い褒め言葉は嬉しいけれど、そこだけで終わっては勿体ないという気にもさせる。どのみち、小説を書いて読んでもらえることは途方もなく嬉しいことなのだ。
「・・・設定に、いささか無理があるのが難点だが、候補作中もっともドラマ性に富んだ作品で、受賞作とトップを争ったことを、書き添えておく。」
逢坂剛さんの講評の締め括りの言葉。
棚ぼた気分にさせてくれる。
もしかしたら百万円もらえたのかも? と邪で甘美な空想に浸らせてもらえて感謝です。
――ええ。
この作品は今年の四月に書いたものだけれど。
いまはもっと書くのが上手くなってますから。
12月1日、文学フリマ東京でお会いしましょう!
↑ ちなみに最新作です。