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『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』を働きながら読んで、考えたこと。

「時間がないからに決まってンだろ!!!」

その本のタイトルを見た時、私は心の中でツッコんだ。


『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』——三宅香帆さんの本。


書店で大々的に売り出されていて、そのタイトルが目に飛び込んできた。


三宅さん、という作家さんがいることは、前から知っていた。
が、著書を買うのは今回が初めてだ。


買った決め手?
——うん。もちろん。そのタイトルだ。

「なぜ働いていると本が読めなくなるのか」
——それはまさに私が日々感じていたことなんだから!!

いや、きっとみんな感じているに違いない。

読書量の多少に関わらず——年間100冊読んでいる人でも、2,3冊の人でも——、社会人になる前後で、読書量は減ったに違いない。


かくいう私もその一人。
めっきり「働いていると本が読めなくなった」人間なのだ。

だからこそ、私は本書を手に取った。
「教えて!!三宅さん!!!なんで本が読めなくなるんですか!!!」



はじめに——この記事を書いたきっかけ


「書かずにはいられなかった」からだ。

「働いていると本が読めない」なりに、私は日々、本を読んでいる。
(とはいえ、その数は多くないけれど)

読書が大好きな私にとって、本は生活になくてはならない存在だ。

でも、全ての本を読んだ後に、この記事みたいに、感想・考察の記事を書くわけじゃない。

「読んで終わり」の本も多い。


でも、たまに——「ビビッときた」本に出会ったときに——こうして記事を書くことがある。

読んだ時の感想とか、「私はこう思ったよ」ってのを、記録に留めておきたくて。


つまり何が言いたいかっていうと、
この本は、久しぶりに「ビビッときた」本だってこと!
三宅さん!素敵な本をありがとうございます!!



本書のあらすじ


まず、本書の表紙をめくったところ(ここ、なんて言うの?)に書いてある紹介文を引用しよう。


「大人になってから、読書を楽しめなくなった」「仕事に追われて、趣味が楽しめない」「疲れていると、スマホを見て時間をつぶしてしまう」……そのような悩みを抱えている人は少なくないのではないか。
「仕事と趣味が両立できない」という苦しみは、いかにして生まれたのか。自らも兼業での執筆活動をおこなってきた著者が、労働と読書の歴史をひもとき、日本人の「仕事と読書」のあり方の変遷を辿る。そこから明らかになる、日本の労働の問題点とは? すべての本好き・趣味人に向けた渾身の作。

『なぜ働いていると本が読めなくなるのか?』表紙裏より



考えたこと|うんうん。「自己実現」は仕事じゃなくてもいいよね!


本書の本筋とは関係ない(かもしれない)けど、
私が本書の中で一番ビビッときた箇所をご紹介したい。

「第八章 仕事がアイデンティティになる社会」だ。

その中でも「1 労働で「自己実現」を果たす時代」(p185〜)が特にビビッときた。


該当箇所を引用する。


自己実現、という言葉がある。
その言葉の意味を想像してほしい。すると、なぜか「仕事で自分の人生を満足させる様子」を思い浮かべてしまうのではないだろうか。
趣味で自己実現してもいい。子育てで自己実現してもいい。いいはずなのに、現代の自己実現という言葉には、どこか「仕事で」というニュアンスがつきまとう。

『なぜ働いていると本が読めなくなるのか?』p185


——いやマジでそれな!!!

ヘドバンの勢いでうなづいてしまった。笑笑

これは常々私が思っていたことでもある。

なあんで(なんでなんだろうね?)「自己実現」っていうと、どこか「バリキャリ」みたいなイメージがつきまとうんだろう?

そこまで行かなくても、「仕事でうだつが上がらない人」をみたとき、「きっと私生活も・・・」と思ってしまうのは、なぜなんだろう?


バリバリに私生活は充実しているかもしれないじゃん!!!


なのに、どこか「自己実現」してない感じがつきまとう
——これに強烈に違和感を覚えていた。


そんな私だったので、本書のこの箇所を読んだとき、「うんうん。そうだよ!そうだよね三宅さん!!!」と思わず叫んでしまったのだ(心の中で)


——だからなに?って聞かれると困っちゃうけど・・・
そう思いました!ちゃんちゃん!って話!


「なぜ働いていると本が読めなくなるのか」への私なりの考え


本書では、「なぜ働いていると本が読めなくなるのか?」への解答として、「仕事以外の文脈を取り入れる余裕がなくなるからだ」(p234)と答えている。

これも本当にそうだよなああ、と頷いてしまった。


いわゆる「仕事モード」の時って、ビジネスっぽい考えに支配されちゃってて、文学とかSFとか、——ラブストーリーさえも——頭に入ってこないよね。

入ってこない、というより、「入るところがない」って感じ。

それはそうだな、と思いつつ。


私はこうも思った。


「本が読めないの、単純に『疲れるから』じゃね???」


本書では、なぜスマホ(「パズドラ」というソシャゲ)はできるのに、本は読めないのか?との問いが立てられている。

その答えは、パズドラには「ノイズ*」がないからだ、という。
*ノイズ:歴史や他作品の文脈・想定していない展開

ざっくり言い換えると「自分には関係のないこと」がノイズだ。


スマホのゲームには、「自分の関係のあること」しかない。
だって、そのゲームをやりたくてやってるんだから。

しかし、本はそうは行かない。
自分が思ってもみなかったような展開になったり、自分が興味のない話が盛り込まれていたりする。

「自分に関係のないこと」が、本には存在しうるのだ。


このノイズのあり/なしは、「心理的な話」である。


「心理的なハードル」と言い換えも良いだろう。

でも。こうも思うのである。


「物理的ハードル」だってあるんじゃない?


本を読むのは——少なくとも「パズドラ」よりは——疲れる。
1日みっちり労働した後に、あえて「疲れる」ことをしたいか?
いや、したくない。


だから本は読めないけど、スマホはできる。というわけだ。


本書にはこの「物理的ハードル」の話がなかった(読み飛ばしていたらスミマセン)ので、「こんな可能性もあるんじゃない?」と思った次第である。



最後に:「働きながら本を読むコツ」、やってみた!


本書の後書きとして、「働きながら本を読むコツ」が紹介されている。
どれも「たしかに!これなら読めそう!」と思うものばかり。

いくつか紹介されていた中で、私はこれを実践してみた!

帰宅途中のカフェで読書を習慣にする

『なぜ働いていると本が読めなくなるのか?』p268


仕事帰りに、ふらっとカフェに寄って、小一時間くらい本を読む。
——読める。読めるのだ!


うおお!本が読める!!!


ただし!
これと同時に、私はあることに気づいた。

「いったん家に帰ってからカフェに行く」、は心理的に難しい

そうだ。そうなのだ。
家に帰っちゃうと、もう「Off」モードになっちゃう。
だから、そこから「よし!カフェに行って読書するぞ!」ってエネルギーは湧いてこないのだ。


だから、ポイントは「帰る途中」なのだ。
「帰った後」ではない。


「帰る前にやり遂げちゃう」ってのが大事だね!◎


——まとまってないけど、今日はこれまで!



出典

『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』三宅香帆、集英社新書、2024年



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そら|肩書きのないnoter
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