ふりかえり8

接客業は好きだった。楽しかったし、やりがいもあった。
でも【言われる前に察して動く】事が染み付きすぎて、一旦それをやめたいと思った。仕事とプライベートの境目が曖昧というか…いつも気を配るのがクセのようになっていたし、どこかに出掛けても店員さんの対応やサービス、お客さんの表情などを同業目線でみてしまう。

だから全く違う仕事内容がいい、と考えて製造業を選んでみた。
いわゆる工場勤務。繰り返しの作業だし、突発的なトラブルもなさそう。
なんといっても条件がとてもよかったから、収入アップのために転職するには最高だと思った。収入は倍近くなった。もうウハウハ🎵笑
追われるような忙しさもクレームもなく、静かな環境。
急な残業もなく、万が一ある場合はあらかじめわかる。
前職と違い収入も安定。条件は全て揃った!!と思った。
だけど、そんな好条件を超えられないモヤモヤがひとつだけあった。
キモチ。私はその仕事に対して楽しさや、やりがいを感じる事が出来なかった。どう考えても自分には合わないと、入職して間もなく気付いてしまった。
前職とのギャップがすご過ぎて、「辞めてまでしたかったのが、この仕事?」と自分に問いかけるような日々。就業時間が長くて長くて、もう帰りたい…とばかり考えて働く8時間。目の前には、いつも変わらない光景。
具合悪くないから早退出来ない。休む理由もない。義務感のみで耐えた。
最初の契約終了まで勤めたら絶対辞める!と決めて。
これ以上は精神的にヤラれる…もうすでにヤラれてる…と思いながら終了までのカウントダウン。
やり切ったーーー!!!と、解放感と共に退職。
この時の仕事が私の中の最短記録。
この仕事で効率よく稼いで海外に行くよ!って人もいた。サバサバ?ハツラツ?とにかくカッコイイお姉さんだった✨コミュニケーションが上手で年上も年下も分け隔てなく接して、楽しい人だった。遊びに誘ってもらったりして、話すうちに憧れたけど、当時の私は先の楽しみより今!無理です!な状態だった。笑

当時まだ10代。よく耐えた。もっと早く退職を申し出てもよかったのに、契約満了までは続けなければと頑なだった。
なーんでそんなに?と考えて思いついた理由…
学校を休みまくっていた頃、最初は受け入れていた母親もしびれを切らし「嫌な事すべて避けてなんて生きられない」と言われた事があった。それだ、きっと。
良くも悪くも母親の一言が子どもに与える影響力ってスゴイ。私はそれまでのように気持ちを話す事はしなくなった。言っても伝わらない、ツラさをわかってはもらえないと解釈したから。冗談まじりに愚痴は言うけど、本当に弱いところは見せない。だから意地で乗り切った。
果たしてこの時の「頑張り」が良かったのかどうか。もし契約期間が1カ月でも長かったら私はどうしていただろう。どうなっていただろう。
そんな思い出、とは言い難いような経験だったけど学びはあった。誰かに指示をする時、何かを頼む時、ただひとり「○○してもらえると助かります~」とにこやかな笑顔の男性がいた。言い方ひとつ、そして表情でこんなにも印象が変わるんだ。物を扱う職場で、みんな黙って作業するのが当たり前だった中で「人」を感じられる瞬間だった。



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