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切なく儚い夏
夏休みのある日。
私はスーパーへ買い出し、僕は子ども祭りに行った。
電話が鳴る。僕からだ。
「どうした?何かあったの?」
「あのね、金魚6匹とったんだ!金魚のエサと入れ物買ってきて」
「まずはエサを買っていく。虫かごがたくさんあるでしょ?
洗ってあるから金魚入れといてね」
「わかったー」
水道水を日光に当ててカルキ抜きをする昔ながらの方法でメダカは3年ほど飼っていた。
ガラス容器を洗っていた時に手を滑らせ見事に真っ二つに割ってしまい、それからは飼っていない。
今回は金魚。
ここぞとばかりに、子どもは昔やりたかった方法で飼いたいと言い出した。
「小さい時、やりたかったブクブクでやりたい。お金は僕の貯金箱から出すよ。大丈夫!」
やる気満々だけど、この流れからしても最後は私が見ることになる。
我が家では、あれも欲しい!これも欲しい!ではなく、自分が本当に欲しいものを自分のお金で買うように伝えているが、今の僕は本気だ。
Googleで金魚水槽セットをチェック、数件のホームセンターをはしごして現地調査をした後に金魚飼育セットを購入。
この力を宿題にも反映させてほしい。
今思えば、私なりにも飼育についてもう少し調べておけばよかった。
金魚を飼い始めて2週間ぐらいまでは特に重要だという。
小砂利を敷きメダカの飼育で使っていた大き目な人工水草をセット等、水槽準備はOK。
日光にあてたカルキを抜いた水と水質環境を整えて、金魚にストレスを与えないように引っ越し完了。
水槽に入った金魚は気持ちよさそうに泳いでいたのでホッとした。
数時間後。
メダカの飼育で使っていた人工水草に、金魚が挟まっているかのように隠れている。一匹は狭いところでジッとしていて動かない。
虫かごに入れていた時のほうが元気だった気がする。
エアーがキツいのか、水が合わないのか。
朝になると、3匹沈んでいた。
洗面器にカルキを抜いた水を入れ救出すると、まだ生きている。
中には弱っている金魚に対して、ちょっかいを出している金魚がいた。
遊んでいる雰囲気じゃなかったので隔離させ、何とか頑張ってほしいと思い様子を見ることにした。
夜には元気になったみたいだけど油断大敵。
一晩、このままにしておいたが残念だった。
水槽を見ると2匹が沈んでいた。
まだ1週間も経っていないのに。
残るは1匹。
悠々自適に泳いでいる。
一匹では物足りないからか、エアーで遊んでいる金魚を見て微笑ましいどころか、これはまずい。
スターターキット購入でついているエアーポンプは、エア量を調整できるダイヤル式ではないのでエアークランプを購入するか、応急処置で洗濯ばさみを使ってエア量を調整するしかない。
深夜に情報収集をして、明日買いに行こうと思っていた矢先に。
小さな命だけに儚い。
この世に存在していた一つの命だけに尊い。
命について、僕も私も忘れてはならない夏だった。
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