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重陽の節句は「大人の節句」だと思う話

日本には五節句がある。

1月7日、人日(七草)の節句。
3月3日、上巳(桃)の節句。
5月5日、端午(菖蒲)の節句。
7月7日、七夕(笹)の節句。
そして、9月9日は重陽(菊)の節句。

伝統行事だけど、重陽の節句はあまりしられていないように思う。
保育園や幼稚園の行事は、お月見の十五夜。

菊は、邪気を払い長寿の効能があると言われていた。
菊の節句は栗の節句とも言われ、栗ご飯を食べたり、日本酒に菊を浮かべて菊酒を飲んだりする。

酒を飲むとなれば20歳になってから。
大人の節句と言えるのではないか。

奇数の日を陽とし、一番大きな数字の「9」が重なる9月9日。
最も縁起が良い日なのだ。
家族や仲間で菊酒を片手に語らうのもいい。
ひとりでゆったりと夜を過ごすのもいい。

キク科のハーブティーでカモミールもいいなと思っていたが、十数年以来の日本酒を飲む機会となれば菊酒を嗜みたい。

思い立ったら吉日と、スーパーに行ってみると食用菊がない。
何件か行ってみたものの、まったくといってなかった。
現在の10月中旬頃が旧暦の9月9日になるので、菊の見ごろな季節。
食用菊の旬な時期より早いのだろうか。

スーパーのはしごで気が付いたことがある。
刺身についているのは、主に大根のつま。
スーパーの寿司に添えてあったのがプラスチックの菊や菊なしだったりするが、某スーパーは食用菊だった。

食用菊が添えられたお寿司

思わず店員さんに伺うと「はい。食用菊ですよ」と返答。
これだ!これしかない!これでやる!

和食店刺身を注文すると添えられている食用菊だが、醬油に菊を散らして薬味で食べていたっけ。懐かしい酒の肴を思い出す。
来年は菊の準備をしようと心に誓う。

栗ご飯やナスの食卓にしようと思ったけど、僕はお寿司。
私は宴。

お気に入りのぐい呑みで菊酒

個人的に楽しい宴は好きなのだが、後輩たちが「飲めませんので、ウーロン茶」「私も」「私も」と連呼する様子を「今の若い子はー」と酒を酌み交わし、サケ・コミュニケーションで深めていた世代の方々の雲行きが怪しくなる前に、私が率先してお酒をいただいて円滑にしていたこともあった。

彼らなりに宴席が好きなようだったのは幸いと言えるが正直、お酒を飲まずしてあの飲んだテンションに付き合えるのは凄いと思う。

私なりにもお酒の流儀がある。

悪酔いしないこと。
つぶれないこと。

折角の楽しい席が疲れる場になってはつまらない。
「明日もが頑張っていこう!」「また会おうね」未来につながる潤滑酒なのだ。

喜怒哀楽。
その時々のお酒付き合い方は自分との付き合い方なのかもしれない。

日本酒が身体に染み渡る懐かしさもあって、なんとも心地よい。

今宵は、鈴虫の音を聞き静かな夜に微笑む。
子どもには日本の四季、行事を覚えておいてほしい。
僕が20歳になり重陽の節句を迎えた時、お酒を酌み交わすことを夢見て。



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