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羽生善治九段との指導対局記「おいも大作戦」

2024年3月31日 am10:30

「京都おいも大作戦2024 in 梅小路公園」にやって来た。


いろんな芋料理が出展されているイベントで、芋好きの妻にとっては夢のような空間だ。

正直、僕は「芋のイベントなんてガラガラだろ…」と甘く見ていたが、会場は人でごった返していた。

1つの料理にたどり着くには、最低でも10分は並ばなくてはいけない。

「そんなに芋料理好きじゃないしな…並ぶの暇やな…」

そんなわがままな思考を巡らせながら、妻と一緒に列に並んでいた。

その時——

「あれ……?」

ふと、頭をよぎる。

「今日ってクラファン最終日じゃなかったっけ…?」


羽生さんの指導対局の募集も、この日で締め切られる。

「まあ、でも、もう枠埋まってるやろな…」

羽生さんの指導対局は、募集枠がたったの1人。

「一応見るか……あれ、え……???」

まだ枠が空いている。

「これって、もう運命じゃない???」

そう、これは運命だ。

正直、もうクラファンのことは忘れていた。

というより、支援は難しいと考え、意識の外へ追いやっていた。

しかし、最終日にふと思い出し、しかもまだ枠が残っている。

「うわ……これ完全に運命だ……」


もちろん、金額が金額なので空いているのも不思議ではない。

だが、こうなるともう運命としか思えなくなってきた。

もはや「京都おいも大作戦」どころではない。

気が気でなくなってきた。

しかし、奥さんは横で芋を頬張り、幸せそうにしている。

「この楽しい空気のなか、一度諦めたクラファンの話をどう切り出す……」

どう言えば、いつ言えば受け入れられるか。

さながら3切れのように、頭がフル回転する。


一通り店を回った後——

「ここだ!」

意を決して伝える。

「今日さ、クラファン最終日らしいわ」

「あ、そうなんや」

「でな、羽生さんのやつ見たら、まだ枠空いててん」

「まあ、金額が金額やし、大変なんやろな」

「空いてるって、もはや運命じゃない???」

「は?」


正しい反応である。

悩みに悩んだ末に諦めたクラファンを、突如「運命」と感じて申し込もうとしている27歳男性。

その横で、芋を頬張る妻。

さて、どうなる——。(続く)


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