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天使と悪魔の恋愛相談室5〜恋愛未経験者の憂鬱な水曜日〜

【本日の相談者】
newbie's 心の声(25歳・SE)
「プログラムは書けるのに、恋愛のコードが理解できません。バグだらけの私に希望はあるでしょうか...」

【アドバイザー】

  • 肩の上の天使(通称:堅物先生)

  • 肩の上の悪魔(通称:モテ活コンサルタント)


デバッグに追われる午後、私のモニターには無数のエラーメッセージ。でも今日は、プログラムのエラーより気になることがある。

「ねぇ、山田さん、婚活アプリって使ったことある?」
昼休み、同期の鈴木さんに突然聞かれた。

私の頭の中で、見慣れないエラーメッセージが点滅する。
Error:恋愛経験が見つかりません。

『やっと来たわね!恋愛の質問!』

右肩に現れた小悪魔が、スタートアップの営業担当のようにプレゼンを始める。

『恋愛、それは人生最高のアプリケーション!今なら特別価格で恋愛攻略セミナーを...』

『ちょっと待ってください!』

左肩には天使が、分厚いシステム設計書を抱えて現れた。

『まずは要件定義からです。理想の相手に求める条件を洗い出して...』

『もう!それじゃ婚活情報サイトと同じじゃない!』小悪魔が天使の設計書を奪う。『恋は自然な流れでしょ!』

『で、でも...』私が震える声で言う。『手順書がないと...』

『そうです!』天使が眼鏡を光らせる。『まずはフローチャートを作成して...』

『はぁ...』小悪魔が溜息をつく。『この前の飲み会、覚えてる?隣の部署の田中くんが'山田さんって可愛いよね'って言ってたの!』

『!!!』天使が慌てて設計書を取り出す。『そのような発言の信頼性を検証する必要が...』

『あのね』小悪魔が呆れた表情で指摘する。『田中くん、毎朝'おはようございます'の後に必ず笑顔で一言付け加えてくるでしょ?あれ、完全にフラグ建築中よ!』

『いえ、それは...』天使が焦る。『通常の職場コミュニケーションの範疇かもしれません。より多くのサンプルデータが...』

その時、社内チャットが点滅。田中くんからだ。

「お疲れ様です!今度のプロジェクト、一緒に担当になりましたね。よろしくお願いします(^_^)」

『Exception detected!!!』
『想定外のイベントです...!』

天使と悪魔が珍しく同じリアクション。

私の頭の中では、無限ループが発生していた。

『これは好機よ!』小悪魔が手を叩く。『返信には必ず絵文字を入れるのよ!』

『しかし、ビジネスマナー的に...』天使が不安そうに言う。『でも、確かにカジュアルな印象は必要かもしれません...』

深呼吸をして、キーボードに向かう。

「よろしくお願いします!一緒に頑張りましょう(^^)」

Send...エンターキーが重い。

『やったー!』小悪魔が飛び跳ねる。『初めての絵文字、実装成功!』

『意外と...自然な実装でした』天使も安堵の表情。

すぐに返信が来た。
「僕も楽しみです!これからランチに行きませんか?プロジェクトの話でも(^^)」

『緊急事態発生!!』
『想定外のリクエストです...!』

天使と悪魔が見つめ合う。

恋愛は、最適化の難しいプログラムに似ている。
バグは付きもの。でも、それを恐れていたら、何も始まらない。

『よし!』小悪魔が決意を込めて言う。『ランチ会話.exeを起動しましょう!』

『はい...』天使も覚悟を決めたように頷く。『適度な会話間隔を維持しつつ...』

昼下がり、私は震える手でマウスを置いた。今日のコードの進捗は、明らかにいつもより少ない。

でも、この胸の高鳴りも、きっと大切なシステムの一部。
少しずつバージョンアップしていけばいい。

『あ、そうだ!髪型も整えて...』

『アップデートは順番です!!!』


後日談:
ランチでの会話は無事成功。ただし、緊張のあまり箸を落としてしまい、新たなバグが発生。天使と悪魔の「危機管理マニュアル」が更新された模様。

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