僕の家庭崩壊の話
僕のオヤは治らない癌だ。
余命宣告も、どうやらされたらしい。
身体中に見える赤黒紫の腫瘍。
抗がん剤も打っているから、
酷いときは毎日吐くし、
トイレまで自分でいけずその辺にビニール敷いて大便撒き散らすし、
時折死人みたいな匂いもする。
果たしてこれを毎日耐えて精神に異常をきたさない人がいるだろうか。
今考えただけでも「気色悪い」と思うくらい、
それなりに僕も精神を病んでいた。
夕飯を食べている時にすぐ隣で吐かれたら?
自分が作った飯を押し込むようにして食べてたら?
自分の体調が悪い時にその辺で大便だのゲボだの撒き散らされたら?
何度も何度も「掻くな」って言っているのに掻きまくって案の定色んな箇所から出血していたら?
これでも「オヤが可愛そう!」なんて偽善を吐くものがいたら一度体験してほしいものだ。
この世に偽善なんて通じない。
神に願っても人に縋っても、所詮は社会の強者によって都合の良いように動かされる。
何に縋っても金は無いし、
何に縋ってもオヤは死なない。
僕の場合は
そのオヤが元々毒親だったというのもあるが、
僕には何故特別感情も無い、寧ろ酷く恨んでいる他人の世話をしなければならないのかが未だにわかっていない。
僕が「オヤ」とカタカナで書いているのもそれが理由だ。
アイツの事をオヤだなんて呼びたくないから。
自分の人生を土台から壊し、束縛し、挙句の果てには首を絞めて殺そうとしたアイツを、オヤだなんて呼ぶには不当すぎるから。
姉はいつしか起立性調節障害の様なものにかかり(というのも、姉も自分も正式な診断を受けていない。自分は一刻も早く精神科たる楽しそうな場所へと向かいたいのだが姉が嫌がるのだ。)
チチオヤも浮気じみた事なのか仕事を入れ込んでいるのか分からないけれどあまり家に帰らなくなった。
自分の頭には今でもずっと、
アイツが死ぬまで
この言葉が残り続ける。
家庭、崩壊。
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