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古道具を楽しむ #6 ペトルス・レグー 西洋から見た日本


僕の仕事は古物商(骨董商)


古物業者の競り売りにて、オランダの皿を見つけた。

ほこり被った"舶来"の文字に
三十路の僕の心はときめきを感じた


デルフト陶器を代表とする19世紀のオランダ製陶器。
はるか昔から一定の評価がある、アンティークテーブルウェア。



たいして道具屋ホリデイズは日本の古道具を扱うお店。



僕も西洋陶器には全く精通していない。

でも前々から扱ってみたいというあこがれもあった。

想定よりも高額ではあったが、競り落としてみる。
マーストリヒトのペトルス・レグー社による陶器。


憧れは叶い、件の皿たちは僕の所有物になった。



オランダ陶磁器の基礎知識


オランダ陶磁器の正しい来歴は、僕の記事を見るよりも正確な説明を行ってくれる西洋アンティーク専門のweb記事などを参考にしたほうがいいと思うが、かんたんにオランダ陶磁器…とくに今回僕が手にしたぺトルス・レグー(Petrus Regout)の社歴につい少し触れておく。

皿の裏面にある陶印


1834年にオランダ・マーストリヒトに設立。
1836年から陶器の製造を開始、当時は白いシンプルな器を主に制作。
ペトルス・レグーは早期からアジアや日本に着目しており、鎖国が解かれて間もない日本、日本が開国した後の1859年ごろには商船を送って日本向けの製品を輸出を開始。
1879年からはロゴを変更。1958年には他社に併合される形で社名消滅・・・。


以上の来歴から、非常に年代が把握しやすい。
僕が手にした皿は「変更前のロゴ」かつ「日本向けの特徴のある絵付け」であったから1860~1880頃のもの。

HONC は デザインパターンを示す


実に分かりやすい。

そしてオランダ陶器の(僕が思う)楽しいポイントは3点。
①素朴なモチーフに焼の甘い柔らかな土味。
②発達した銅版技術による正確なプリント。
③東洋向け輸出に特化したデザインが存在する。


とくに③に関しては「ヨソから見たニッポン」が垣間見えて楽しい。



欧米の見たニッポン


そもそも、オランダ陶磁器の来歴も面白い。
 
 
①遠いむかし、オランダ人は遠く離れた中国から陶磁器を輸入した。
 
②その技術に倣い、さらに欧米諸国ならではの「工業的な進歩」のエッセンスを加えて作成・販売に取り組んだ。


ちなみに①の時期は中国などのアジア諸国から陶磁器に限らず様々な工芸品などを輸入していた、その間のオリエンタルなモチーフが入り混じる欧米のデザイン群をシノワズリといったりもする。





そして、ぺトルス・レグーをはじめとする陶器会社のほか、オランダの商売人たちは早期から東洋市場に目をつけていたのは日本史の教科書を見てもわかることだろう。


先も述べたようにオランダ → 東洋 への輸出を目論み、東洋風のデザインを施したのが本品。


よく見ると整合性の合わない
それぞれのオブジェクト
これがオランダ人が想像した日本(アジア)なのだろう


先も述べたような理由から、本品は1860~1880年ころに制作されたもの。

この絵付けはおおよそ「150年ほど前にオランダ人がイマジネーションした東洋」とでも言えばいいのだろうか・・・。


 


欧米への劣等感 / 優越感




そのオリエンタルでジャパンを感じる絵付けの焼き物を「舶来品」と箱を認めて大事にしてみたヨソモノ好きの東洋は島国の日本人。 

オーバルの形状に卵型と名を授ける。
それもまた面白い。


きっと、「僕たちが憧れる欧米、から見た日本はこんなに素敵な国なんだ」という劣等感と優越感の入り混じる情念を抱いたのだろう。
 
 
 
銭勘定とデザインと感情が動いていくさまがわかる。




 
 
その変遷を伺うのが好きで、得も知れぬ感傷を抱いてしまう、同じく東洋は島国の果て、東北生まれ・育ちの僕。
 

それぞれ店頭やECにてご案内の予定。
いつかの誰かの心とともに、大事にしてくれる人に渡ると嬉しい。


 

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