「熱源」を読んだ、高3のあの一週間
「知る世界の広さは人生の可能性の広さだ」
この文章を読んだ瞬間、わたしはこの本に出会えてよかったと自然と思えたのです。
「熱源」を読んだきっかけは高校生直木賞というイベントに参加するためでした。だから、あくまでも自分で選んだ本ではなかったのです。
それに、それまでのわたしは、歴史小説ってちょっと読むのきつそうだなと思ってほとんど読んだことがありませんでした。
ちなみに、高校生直木賞というイベントは5作の候補作のなかから、全国の高校生が集って、投票で1作の受賞作が決まる討論会のようなものです。
わたしの一票が運命を決めるかもと思うと、軽んじて読むことはできず、スマホで気になったことを調べながら読みました。
もともと、丸一日せめて二日あれば読めるだろうと侮っていましたが、調べながら・書き留めながら読んでいると気づけば一週間。
読み終わった後、熱が冷めず、家族にずっと、これすごい!読んで!としか言わないといったような感じでした。
高校生直木賞イベント当日、わたしの学校は「熱源」を推し本として発表し、討論しましたが、惜しくも受賞とはならず、悔しくて自分を責めるほどでした。
「熱源」は歴史を軸とした、あくまでも文化や生き方が詰まったお話だとわたしは思っています。支配下にあったから今とは違うとか、難しそうだけで済む話ではなく、生きる上で大切なことを「熱源」は教えてくれました。
発売から3年目になる今年、文庫化になることを期待して、この文章を終えたい。