8月のお知らせ
8月の「映画を鑑賞する会」は、川島雄三監督作品を二本取り上げたいと思います。
⭐8月5日(土)『幕末太陽傳』⭐
あらすじ:時は、幕末、文久2(1862)年。東海道品川宿の相模屋という遊郭へわらじを脱いだ佐平次(フランキー堺)は、勘定を気にする仲間を尻目に、呑めや歌えの大尽騒ぎを始める。しかしこの男、なんと懐には、一銭も持ち合わせていなかった…。居残りと称して、相模屋に居ついてしまった佐平次は、持ち前の機転で女郎や客たちのトラブルを次々と解決していく。遊郭に出入りする攘夷派の高杉晋作(石原裕次郎)らとも交友を紡ぎ、乱世を軽やかに渡り歩くのだった。
解説:「居残り佐平次」などの古典落語を基に、江戸の色町で繰り広げられる騒動を描いた1957年製作の喜劇映画の傑作。遊郭に居座った一文なしの佐平次の粋な生きざまと、遊女や出入りする客たちとのエピソードをつづっていく。川島雄三がメガホンを取り、佐平次役のフランキー堺が名コメディアンぶりを発揮するほか、石原裕次郎や小林旭など日活スターたちが共演。シニカルなユーモア、エネルギーあふれる登場人物など、痛快で爽快な川島演出の手腕が光る。
⭐8月19日(土)『しとやかな獣』⭐
あらすじ:鉄筋五階建のアパートが立ち並ぶ郊外の団地、それは日本の戦後を象徴するものの1つである。前田実の家はその四階の一角を占めている。初秋の残暑きびしい午後、実の勤めるハイライト芸術プロの社長香取が、会計係の三谷幸枝とジャズシンガーのピノサクを連れて、どなり込んで来た。実はピノサクの出演料を横領したというのである。調べると、契約している殆どが被害を受け全部で百万円位になるという。みじめな着物をつけた父の時造と母のよしのは平身低頭するばかりであったが、三人が帰ると、ケロリとして、奥にかくしてあったステレオや、テレビを元の位置へ戻し着物を着替えるとくつろいでコーヒーを入れるのだ。
解説:鬼才・川島の映画のなかでも、実に痛快な代表作の1本。舞台は2部屋しかない公団住宅。ここに、金のためには世間の道徳観念など屁とも思わない一家が住んでいる。海軍中佐であった父親の指導のもと、息子は芸能プロに勤め、サギまがいの悪徳手口で荒らし回り、娘は流行作家の妾となり、絞り取ることに余念がない。母親はそんな親子を温かく見守っている。そこに息子が横領金を貢いでいた女事務員が登場する。悪に徹し切った登場人物たちのセリフが実に小気味良く、それにガッチリ応えた役者たちの味も格別。歌舞伎を思わせる音楽の流し方といい、斬新なブラック・ユーモア劇である。
U-NEXTはウォッチパーティの機能がありませんので、同時視聴しながら「映画を鑑賞する会」内の「交流の輪」で語り合いましょう。
8月の「映画を鑑賞する会」に参加されたい方は、詳細をサークル内からご確認ください。何卒宜しくお願いします。
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日々観た映画の感想を綴っております。お勧めの作品のみ紹介していこうと思っております。