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みやびのエロ演出論 ②

エロとは、セックスシーンだけではありません。セックスがなくてもエロは表現できるのです。これは、異性との恋愛を知らない人は表現できません。この回は、向田邦子新春シリーズ「麗子の足」「隣の神様」「女正月」を取り上げます。

このシリーズを演出したのは、久世光彦監督です。このシリーズでは男女の裸は一切映りません。それなのにエロいのです。男女のエロがどのように演出されているかを紹介します。

注意)この演出論は映像がないと説明が難しいので、動画が削除された時点でこの記事を削除します。

ネタバレありです。


「麗子の足」
あらすじ:
女学校の教師をしている紀田家の長女・礼子(田中裕子)は従兄の聡一郎(永島敏行)は想い合っていた。軍医をしている聡一郎は、226事件に加担することを決意する。226事件を決行する前に聡一郎は、麗子に愛を告白するが・・・。

1時間06分~始まるシーン。幼い頃の思い出を語り合う麗子と聡一郎。二人が畳の上で座り、身体を寄せ合った瞬間、聡一郎は麗子を思わず抱きしめてしまう。驚いた麗子は、聡一郎を拒絶する。

1時間17分~始まるシーン。聡一郎から麗子に抱きしめてしまったことを謝罪と夜に逢いに来てほしいという電話がかかってくる。麗子は、聡一郎と一夜を共にすることを覚悟して、聡一郎が待つ宿へ向かう。二人は、宿でおちあうことができたが・・・。


「隣りの神様」
あらすじ:
昭和14年夏。宮部麗が女学校から帰ってくると、いつもの通り姉の笙子(国生さゆり)が二階の病室から外を眺めていた。笙子は心臓の病気で、外出を禁止されている。そんなとき、窓から剣道具を担いだ学生風の青年が歩いているのが見えた。笙子は、その青年に片想いをしていた。同じ日、本郷白山に嫁いでいた長女の彦乃(田中裕子)が離縁して戻って来た。宮部家には父がおらず、母・里子(加藤治子)と三姉妹の暮らしが再び始まった。彦乃が戻って半年後、昭和15年の元日の夜。突然、古い知人の娘・則子(築山万有美)が玄関に飛び込んできた。則子は「駆け落ちしたので家に置いてほしい」といい、ひとりの男(小林薫)を連れてきた。

44分~始まるシーン。笙子が倒れる。笙子が片想いの青年に文通を申し込む手紙を送ったが、封を開けずに返送されてしまう。姉の彦乃は青年からの断りの手紙を渡すと妹の病状が悪化すると思い、青年からだと嘘の手紙を書く。その手紙の代筆を家に転がり込んできた男(小林薫)に依頼する。

49分~始まるシーン。彦乃が二度目の代筆を依頼する。男に対して恋心を抱くようになっている。男は、彦乃の気持ちに気づいている。

54分~始まるシーン。3度目の代筆を依頼する。男は、彦乃に「赤マント=想い人」はいるのかときく。彦乃はいないと応えるが、男は彦乃の心の奥に潜む炎をみのがさない。

1時間~始まるシーン。笙子は死が近づいている事がわかっている。男と女の契りを知らずに死ぬのは嫌だと手紙に書く。その妹の想いに衝撃を受ける彦乃。彦乃は、妹に諭すような文面の手紙を書く。その文面に反論する男。彦乃の4度目の手紙は代筆できないと男は断る。そして、笙子が「男への欲望」の興味を持つことは不自然ではないと彦乃に言う。

1時間4分~始まるシーン。笙子は縁側で座っている。男が縁側にきて、笙子に一緒に外出しないかと誘う。

1時間8分~始まるシーン。笙子の元に4通目の手紙が送られてくる。男が独断で送った手紙だと気付く彦乃。その手紙には待ち合わせ場所が書かれていた。笙子は待ち合わせ場所に向かおうとするが、発作で倒れてしまう。彦乃は、何故4通目の手紙を送ったのだと男の元に抗議しに行く。男は彦乃が抗議しにくることはわかっていた。


「女正月」
あらすじ:
昭和13年の暮、池上本門寺裏手にひっそり住まう神山家。商工省官吏だった主は10年前に亡くなり、今は母・里子(加藤治子)、会社勤めの次女・まき恵(南果歩)、帝大生の長男・健一郎、女学生の三女・みさ代、という4人家族である。長女・いち乃(田中裕子)は商工省の役人・田久保誠一(岸部一徳)に嫁ぎ、近くに住んでいる。いち乃は出版社に勤めていたが8年前、石川善郎という作家に無理心中を仕掛けられた過去がある。石川は死亡し、いち乃は身体と心に傷を負った。そんなある日、まき恵が「恋人を連れてくる」と予告し、出版社に勤める中原博之(小林薫)を連れて来る。

20分~始まるシーン。いち乃の過去を知っている中原は、そのことをいち乃に告げに家にやってくる。驚く、いち乃。

35分~始まるシーン。二度目、いち乃を訪ねる中原。いち乃の過去の傷を抉るように語り掛ける。

40分~始まるシーン。三度目、いち乃を訪ねる中原。中原は、いち乃に自分の想いを吐露する。

49分~始まるシーン。中原に愛人がいることを知ったいち乃。いち乃は中原の家を訪ね、妹のために愛人と別れるように頼む。

1時間19分~始まるシーン。いち乃は、中原が心中の相手を探していたのだと気付く。いち乃は、そのことをわかった上で中原の家を訪ねる。

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みやびの映画日記
日々観た映画の感想を綴っております。お勧めの作品のみ紹介していこうと思っております。

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