#23 サル達は秋の遠足に!群れの居ぬ間はハナレ猿
暦通りの出発⁈
2024年8月31日(土)
この日はまだ、たくさんのサル達が出勤していました。
「この様子なら、9月中もサル達はエサ場に出勤してくるのでは?」と
センター関係者の皆さんもお話しされていたのですが・・・
9月になったとたん、サル達の出勤状況がガラッと変わり、2日(月)はお昼ご飯を食べた後、サーっと山中へ帰ってしまいました。
まだまだ猛暑日が続いているというのに「カレンダーを見たの?」と思わず言いなくなるほどの急変です。
撮影した9月3日(火)は開園日でしたが、出勤しているサルが少なく、終日臨時休園になりました。
モンキーセンターのホームページにも
【早ければ、9月上旬頃より、山の実りを求め山奥へ移動し、見学できなくなります】
見学できる可能性【5%】と記載されています。
0%ではなく【5%】というのは、サル達が時々エサ場にやってくることがあるからです。
戻ってくるサルの数はバラバラで、群れの大半のサル達が来る日もあれば、30~40頭と少なめの日もあります。
そして出勤していても、1時間も滞在せず山に帰ってしまうこともあります。
「長年ここのサル達を管理しているけど、サル達の行動は本当に読めない」とセンター長さんが言われるのですから、いつサル達がエサ場に出勤し、いつ山奥へ移動するのかは誰にも分かりません。
群れのサル達は
『自然の実りを求めて いざ山奥へ!』
どうやら暦通り
毎年恒例の『秋の遠足』に出かけたようです。
群れの居ぬ間に
ニホンザルの群れは大人のオスとメス・そしてその子ども達で構成されています。
オスはメスよりも少なく、淡路島モンキーセンターの場合は1割程度ではないか?と思います。(個人の見解です)
産まれた群れで過ごし続けるメスと違い、オスは4~5歳頃になると群れを出て、よその群れに入るそうです。
しかし、よその群れに入るまでの間は、単独で暮らしているので『ハナレ猿』と呼ばれています。
淡路島の場合は、島外へ出ることはないので、よその群れにも入らず、群れの周辺で単独で過ごしているオスもいるようです。
9月24日(火)
この日も臨時休園になりましたが、1人だけ猿が居るとのことで、許可をいただきエサ場に上がらせていただきました。
この日、静まり返ったエサ場に居たのは
『シミ』
右目の上にシミがあるから『シミ』と名付けられたそうです。
高台の通路に座り、キョロキョロと周囲を見回しています。
のんびり過ごしているように見えますが、常に周囲を警戒しています。
シミはハナレ猿です。
しかし、彼はハナレ猿の中でも、群れのサル達との距離は近いようです。
朝は、山から群れの中心オス達が降りてくるギリギリのタイミングまで滞在し、エサ場から離れた後も、下の駐車場周辺で子ザルやメス達に毛づくろいをしてもらっていることもあります。
夕方も、中心のオス達が山に帰ったあと、追い払われる心配がないと感じると数人のサルが居てもエサ場に現れることが多いので、私も頻繁に会うことができます。
シミくんに仲間が⁈
「ギャッギャッ」
遠くの方から、サルの鳴き声が聞こえたような気がしました。
高台に座っていたシミにも聞こえたようで、背伸びをして声が聞こえた方向を見ています。
私も同じ方向を見ましたが、おサルの姿は見えません。
シミは遠くへ鋭い視線を送りながら歩き始めましたが、ゆっくりと歩いているので緊迫した状況ではないようです。
普段から独りで暮らしているからか、群れの中心オスよりも威勢よく歩いているように見えます。
そのまま奥の非公開エリアに行ってしまい、姿が見えなくなりました。
サルらしき声も聞こえないので、争いもないようです。
「シミくんも山に帰ってしまったのかな?」と思っていたら
4分後、こちらに向かってくるシミが見えてきました。
しかもシミと同じくらいの大きさのオスが1人増えていて、2人とも周囲を見回しながら、肩で風を切るような堂々とした歩きっぷりです。
ズンズンズン・・・足音が聞こえそうな勢いです。
この時、私の脳内では『ダースベイダー』のテーマ曲が流れ
『最強コンビがやってきた!』のキャッチコピーも付きました。
この段階では、どちらがシミなのか分かりませんが、前を歩くオスのしっぽがピンと立っていて、なんだかとても強そうです。
近くまで来ると、お顔のシミで識別ができました。
サル文字看板前まで来ると、シミはエサやり小屋の方へ向かい、しっぽピンのオスが水飲み場へやってきました。
チラッと管理室の方を見たオスは、そのままカッコンを始めました。
カッコン(大豆入りの給餌フィーダー)の紐の引き方からハナレ猿の『マツ』かと思いましたが、顔を見たセンター長さんが「なんか違うな」と。
改めて顔をじっくりと見ると『マツ』と目の感じが違います。
後日、センタースタッフの方にも写真や動画を見ていただきましたが、今のところ識別はできていません。
ということで、今回は『似てマツ』と呼ぶことにします。
シミくんには強いが○○は苦手⁈
センター長さんから、サツマイモの差し入れです。
この時、2人の間でサツマイモを見せ「どっちが上位なのか」を確かめていました。
先に取った方が優位なので、やはり『似てマツ』の方が上位。
ハナレ猿にも、しっかりと優劣があることが分かりました。
この直後、カッコン付近から物音が!
2人とも、わずかな物音にも瞬時に反応。
音の原因はシカだったのですが、素早い反応に群れのサル達とは違う警戒心の強さを感じます。
仲間の多い群れのサルと違い『独り』もしくは『少数のオス』で行動しているハナレ猿は危険な状況になることが多いのでしょう。
サツマイモをもらったシミは、少し場所を変えて食べ始めました。
イモの先っぽは硬いので、食べずに吐き出していましたが、彼は皮ごと食べていました。
『似てマツ』は水飲み場へ移動しました。
柵の上に座って美味しく食べていた『似てマツ』に近付いてきたのは・・・
お察しの通り『シカ』です。
モンキーセンター内に現れるシカは『野生のシカ』です。
餌付けをしているのはサルだけで、シカも野生。
餌付けはしていません。
シカはサル達のエサのおこぼれを狙ってやって来ます。
ところで、サルがサツマイモを食べているのを見ていると
『皮を食べる派』と『皮は食べない派』と、好みがあるようです。
先ほどのシミは、硬いところ以外は皮ごと食べていましたが『似てマツ』は皮の部分は小さく齧って吐き出しています。
『似てマツ』に近づいてきたシカは、彼の落とす皮が欲しいようです。
シカは『似てマツ』の押し程度で怯むことはありません。
全く気にする様子もなく、下に落ちているサツマイモの皮をもぐもぐ。
シカの狙いが、皮だと分かると『似てマツ』の態度も軟化します。
歯をむき出して怒ることはなくなり、シカが近づいても軽く頭をポンと叩いて けん制する程度です。
サツマイモを食べ終えた『似てマツ』は、そのままカッコンを始めました。
右手で紐を引くと、カッコンから大豆が出てきます。
おやおや~
また苦手なシカが近づいてきました。
今度は大豆のおこぼれを狙っているようです。
「こっちに来るな!」と言いたいのでしょう。
グイーッと両手でシカの首?喉?あたりを押しますが、シカは少しのけぞる程度。
ノーダメージです。
とりあえず、優しめの押し技でシカに忠告できたようです。
とはいえ、懲りないシカは、またすぐに近づいてくるのですが・・・
のんびりしていても警戒は続く⁈
『似てマツ』はカッコンを楽しんだあと、傘屋根の上で山の方を見ています。
リラックスしていても、群れや他のハナレ猿への警戒は怠りません。
エサやり小屋の前でくつろいでいるシミも、山の方向を気にしています。
しかし、自分よりも上位の『似てマツ』が一緒なので、少し気楽なのかな。
『似てマツ』と比べると、リラックスしているように見えます。
一方の『似てマツ』はというと
傘屋根から降りて管理室前でゴロゴロしていたのですが、またしてもシカさん登場です。
顔は必死ですが、今回も優しめの両手押し。
『似てマツ』は他のサル達ではなく、シカへの警戒が続いているようです。
そのまま管理室前に座り込んで、センター長さんへ「おやつをください」のアピール開始です。
ん?
何か気になる⁈
あっ!右足に何か付いてる!
右足に小さな黒い何かがくっついています。
黒い物の正体は『ハエ』
さっき私の目の前で『似てマツ』に止まったのです。
取ろうとしたら、飛んで逃げていきました。
2人は仲良し⁈
2人がのんびりしている間も、カッコンが動く音が聞こえています。
2人は『似てマツ』の張り込みの成果で、センター長さんからバナナをもらいました。
2mほど離れて食べる『似てマツ』
よく見てみると、バナナの食べ方にも個性があるようですね。
センター長さんのお話では
「2人ともモンキーセンター出身だろう」とのことです。
今日の2人の様子を見ていると、争うような関係でないことは明白です。
仲間にもなれそうな雰囲気ですが、この日はお互いの毛づくろいをすることはなかったので、やはり普段は独りで暮らしているようです。
もしかしたら、2人とも年齢が近いようなので、子どもの時から顔なじみだったのかな?
山で会った友達(シミくん)に
「今ならエサ場でおやつがもらえるで」と言われて
「ほな一緒に行こかー」と
『似てマツ』がやってきたのかな?
こんな風に、山の中での出来事や、2人の関係性を妄想するのも楽しいです。
この日は2人にしか会えなかったけれど、群れのサル達とは違う『ハナレ猿特有の緊張感』と『リラックスしている時の可愛さ』の両方を見ることができました。
毎年のことですが、9月から11月中旬はサル達が山奥へ移動してしまうので、ほぼ休園状態になります。
11月中旬以降に来園を検討されている方も、淡路島モンキーセンターの公式ホームページで状況を確認したり、モンキーセンターへ電話で確認されることをお勧めします。
淡路島モンキーセンター
電話 0799-29-0112
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