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ワタシは宇宙人 「因縁」 #25
祖父の葬儀はあっという間に済んだ。
四十九日の納骨。
新緑の五月。その日は抜けるような青空が広がっていた。祖父がお墓に入るとき、天からパラパラと雨が落ちてきた。
空を仰げば、青空が広がっていた。天気雨だった。向かいの山には綺麗な虹が出ていた。
空も泣いているのだろうか、はたまた微笑んでいるのだろうか。綺麗な虹は祖父からの最後のプレゼントだと思った。
大好きな祖父がいなくなって、静かな日々を過ごしていた。そして少しずつ、婚礼に向けての準備が始まっていた。
わたしは、たまにこんな風に思う時がある。
人生は全て筋書き通りなのだろうか
それとも、
自分の意志で変更すれば、また新しい筋書きに変わるのだろうか
生きていると自分では予想しない事が起きるが、あとで振り返ると「それが必要なタイミングだった」と悟る時がある。
あの時会社を辞めなければ、わたしの人生はまた変わっていたのかも知れない。でも、辞めた事で祖父との大切な時間を過ごし、結婚という節目を迎えることになった。
彼とは8月に籍を入れて、同じ年の11月に晴れて式を挙げた。
婿養子だった祖父がいなくなり、バトンタッチするように彼はわたしの家に婿養子に入った。
はじめはお婿さんを貰うなんて1ミリも考えた事がなかった。親から家を継ぐ話なんて、1度も言われたこともなかったからだ。
しかし彼は「俺は次男だから、婿に入る」と言ってきた。こんなわたしにも結婚の縁があったことを嬉しく思った。
縁といえば1つ不思議なことがあった。
偶然にも、わたしの妹と彼の妹の名前は同じだった。
それだけでは無かった。結婚してはじめて分かったことがある。
それは、わたしの祖父の名前と彼の大祖父の名前が同じということ。更に、わたしの祖母と彼の高祖母の名前も同じだったのだ。
これは何かの因縁なのかは分からないが、読みも漢字も同じで「こんな偶然があるのか」と双方の両親は驚いていた。
しかし、
彼だけは平然とこう言った。
それだけ在り来たりの名前って事だろう。気にすんな。
…気になる。
妹の名前はまだしも、祖父母の名前はそうは同じ人はいないと思う…
ただ、因縁とはそういうものなのだろうか。