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こどもの日の日記と、五月人形
今日はこどもの日。
近所ではこいのぼりが揚がっている家もちらほらある。
子どものころ、この時期になると、車の中から我先にと弟と競うようにしてこいのぼりを見つけては得意気になっていたことを思い出す。
私たちが子どもだったころに比べれば揚がっているこいのぼりの数はめっきり減ってしまったように思うけど、車窓からこいのぼりを見つけるたびに子どもたちが喜んでいる姿を見ると、なんだか不思議な気持ちになる。
そんな息子が生まれた7年前のこと。初節句の年に、五月人形を探していた。
マンション住まいで置くスペースも限られているなかでいろいろ探しているうちに、ふと目に止まったのが、京都・清水の二寧坂に工房を構える「島田耕園人形工房」さんの御所人形だった。
二寧坂といえば観光地としても有名だけど、大学時代を京都で過ごしたこともあって「あそこか」とパッと想像することができた。
あの場所の空気を纏って制作されている五月人形。「良さそうだな」と直感で感じ取ってはいたけど、その日はとりあえずそのサイトをブックマークだけしておいてパソコンを閉じた。
ほかにもいろいろ見てみたのだけれど、やっぱり御所人形を最初に見たときのインパクト、愛らしさが忘れられなくて。家族と相談した末、購入に至った。
「初陣」と名付けられた五月人形。
兜をかぶった稚児はむちむちとした白い肌に、ちょんっとした口元と表情が勇ましくもあり、可愛らしい。どことなく赤ちゃんの頃のわが子と似ているような?(世の大半の親が我が子と重ね合わせるのでは?と思うほどの愛嬌がある)
「飾り馬」は立身出世、「虎」は護身の意味が込められているという。
食器棚の上にある飾り棚に乗るくらいコンパクトなんだけど、7年経った今も毎年、大切に出している。そして出すたびに細やかな細工に目を奪われる。飽きる気配がない。
実家で弟がやってもらっていたように大きなこいのぼりを庭に揚げることはなかったけど、端午の節句に込められた意味とともに、いつまでも息子に継いでいきたいと思う五月人形と出会うことがきた。
7年前のわたしよ、グッジョブ。
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今日は実家の近くで人気の和菓子屋さんで購入した、できたてのかしわもちを食べた。柏の葉っぱから頭がちょこんとのぞくさまも愛らしい。ここのお餅もこしあんも、間違いないおいしさ。
「ホンモノのお餅は当日中に食べること。次の日はかたくなるからね」
と、かつて取材した和菓子屋のおばあちゃんに言われた言葉を思い出す。
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昨日はこいのぼりを見に子どもたちと近くの公園に行った。
遊具もふんだんにある公園で、息子と娘が2人で競い合いながら遊ぶようになって母は遠巻きに見ているだけ。そんな状況を客観的に見て「もう手取り足取りお世話しなくてもよくなったんだな」と、成長を感じてうれしさ半分、少ししんみりしたり。
子どもたちが赤ちゃんのころ、わたしにベッタリだったころはあんなにも「自由な時間がほしい」と願っていたのに。いざそれが手に入りそうになると「寂しい」だなんて、我ながら身勝手にできている。
日常の延長線上にあるなんてことない一日。だけど今日、心は凪のようにおだやかだ。
こういう日がいつまでも続けばいいのにと思う。