青春のマツレコ
中学時代、CDショップ通いにどハマりしていました。
私が中学生時代だった90年代は、セリーヌ・ディオン、ホイットニー・ヒューストン、マライア・キャリー、バックストリート・ボーイズ、スパイス・ガールズ、オアシスなど、洋楽が日本でも大変な人気。私も英語の授業が楽しかったこともあり(前回の「カーペンターズで洋楽に目覚める」をご覧ください)、主に洋楽のCDを集めていました。
地元の大津町から熊本市まで電車で通学していましたが、学校から熊本随一の繁華街上通、下通へは近く、たまに行くのが楽しみでした。お目当てはもちろんCDショップ。
当時は音楽配信などなく、CDが主流の時代でしたから、お小遣いを貯めてCDを買う、それも失敗しないように吟味しながら。大切な一枚を買うのに相当時間をかけて選んでいました。
私が通っていたCDショップは主に二軒。
下通の入り口にあったマツモトレコード、同じく下通にあったタワーレコードでした。特にマツモトレコード、略してマツレコは私の青春時代を語るのに欠かせない場所です。
CDを買うと、手作りの新作のお知らせが同封され、重要な情報源でした。また、声楽を学び初めてからは、クラシックのコーナーも充実していたマツレコさんのニーズが更にアップ! 店員さんの知識もすごく、よく質問していました。
一流アーティストも来店
そして、マツレコさんには、一流アーティストもよく来店していました。それも今では考えられないようなビッグアーティスト。私がサイン会に並んだのは一度だけでしたが、なんとMR.BIGのエリック・マーティンです!
当時、バンドをやっていた姉がMR.BIGの大ファンで、特にボーカルのエリック・マーティンが大好きでした。私はというと、姉が家でよく聴いていたので、ある程度知識はありましたが、大ファンというわけではありませんでした。ただ世界的なアーティストを間近で見たいという思いで、学校帰りにマツレコで姉と待ち合わせし、店内を物色しながら、エリック・マーティンの到着を待ち構えていました。
エリック・マーティンが来店した瞬間空気が変わり、ファンでもない自分までが、大きな拍手で迎えていました。スター! そう、オーラを放った大物スター! でした。意外とミーハー気質だったのか、気付けば私は姉よりも前に列に並んでいました(笑)。
エリック・マーティンの手は温かく、そして大きかった! 今でも本当に良い思い出です。
マツレコさんありがとうございました!
音楽の聴き方が大きく変わった今、CDを聴くということが少なくなりましたが、私は最近またCDを聴くようになりました。なぜか、当時お小遣いをためて買ったCDたちは、自分の中ではみな名盤です。ちょっと、いまいち……と思った一枚も、次の一枚を買うまで半分我慢してじっくり聴いていると、不思議と好きになっていました。
音楽配信サービスなどで、好きな部分だけを簡単に聴くことができることは、逆に自分の気に入ったもの、知っているもの以外は聴かないということになっているのかもしれません。アルバム一曲をプレーヤーに入れてじっくり聴く……やっぱりこのスタイルは落ち着くな~。そして、感性を育ててくれたマツレコさん、ありがとうございました。マツレコのCDカバーは今でも大切に使っています。
マツモトレコードさんは2006年に閉店されたそうです。下通に行くたびに、寂しくなります。マツレコさん! ありがとうございました!