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「ファスト&スロー」を読む - ⑪認知バイアスの代表例(その3)

さあ、木曜日だ。

木曜日は心理学を取り上げていきたい。
このシリーズでは、ダニエル・カーネマンが書いた「ファスト&スロー」という本を取り上げて、ボクが読み進めながら受けたインスピレーションを書き連ねていこうと考えている。

ご興味おありの方は、ゆっくりお付き合いいただけると幸いだ。


さて、現在は少しだけこの本(ファスト&スロー)の内容から離れている。

この本の [第2部 ヒューリスティックとバイアス] のページから先に進んでいくにあたり、認知的錯覚(認知バイアス)の代表的なものを紹介して、それについての解説を加えている。

現状維持バイアス

ボクたちは、ある選択場面で、何か新しい提案をされたときに、それが非常に優れた提案だったとしても、それをすぐに受け入れることに抵抗を感じることがある。

選択肢にメリットとデメリットが共存する場合、リスクや失敗を恐れて非合理な選択をしてしまうことを「現状維持バイアス」と呼ぶ。例えば、今と同じ仕事内容で、より良い給与でこちらの会社に転職しないか?と誘いがあっても、人によっては「何かを失うかもしれない」という不安の方が大きくなってしまい、転職せずに現状を維持する方を選択してしまう場合がある。

保有効果

多くの人は、自分が所有している物について「金銭に代え難い」と思う傾向がある。

他者にとって価値がないものでも、自分が所有している物に対しては「高い価値がある」と感じてしまうことを「保有効果(もしくは授かり効果)」と呼ぶ。例えば、財布を盗まれてしまった際に「中身のお金はあきらめるが、長年愛用してきた財布だけは戻ってきてほしい」などと思ってしまうようなことだ。

損失回避

そこには「損失回避」というバイアスがかかっているかもしれない。

何かを取得することと、損失することを比較すると、ボクたちはそれが同等の価値であっても損失の方に強い感情・・・・・・・・・を感じる。つまり利得と損失がボクたちの心に与える影響は対称的ではない。

先述の「現状維持バイアス」や「保有効果」は、この損失回避の感情から派生したものだ。

現在志向バイアス

とはいえ、ボクたちには「目の前の喜びを優先する」というバイアスも持っている。

例えば、「①1年後に3万円もらえる」と「②2年後に4万円もらえる」のどちらを選ぶか?という選択肢であれば、圧倒的に②の方を選ぶ人が多いが、「③今すぐ3万円もらえる」と「④1年後に4万円もらえる」の選択肢になると、途端に③を選ぶ人が増えるようだ。

ボクたちは、将来の利益に比べ、現在の利益に過度の重みづけをする傾向がある。つまり「アリとキリギリス」の寓話で言うと、キリギリス的な性質を持っているのだ。それを「現在志向バイアス」と呼ぶ。

(続きはまた来週)


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