![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/154829715/rectangle_large_type_2_0d1a5e1f8ce60bad29378925d5f44b09.png?width=1200)
「ファスト&スロー」を読む - ⑨認知バイアスの代表例(その1)
さあ、木曜日だ。
木曜日は心理学を取り上げていきたい。
このシリーズでは、ダニエル・カーネマンが書いた「ファスト&スロー」という本を取り上げて、ボクが読み進めながら受けたインスピレーションを書き連ねていこうと考えている。
ご興味おありの方は、ゆっくりお付き合いいただけると幸いだ。
さて…
ということで、今週から「認知的錯覚(認知バイアス)」について、代表的なものを紹介して、それについての解説を加えていきたいと思う。まずは、意思決定や信念に関係するバイアスから入っていこう。
文脈効果
「文脈」とは、現在ボクたちが接触している情報の前後関係のことを指す。ボクたちの知覚(認知)は、与えられた情報がどのような文脈で提示されるかによって変化する。そして、それは「文章」に限らず、音や風景などにも同様のことが起きる。
例えば、大相撲の開催場所として有名な「両国国技館」の所在地は「東京都墨田区横網町」であるが、多くの人が「よこづな町」と読んでしまう。正しくは「よこあみ町」だ。
利用可能ヒューリスティック
「ヒューリスティック」とは、ボクたちが何かの思考をする際に、(経験や先入観に基づいて)直感的に、あるいは簡便的にものごとの判断を下すことを指す。それは、短時間で結論に至ることができるというメリットを有しているが、そこにバイアスが加わることによって、間違った解答を導き出してしまうデメリットも有している。
利用可能ヒューリスティックに話を戻そう。
ボクたちは、自分の頭に浮かびやすいものや目立ちやすいものを選択しようとする傾向がある。最近起きた出来事や、印象深かった情報が、脳内でアクセスしやすい存在になるからだ。
例えば「日本にコンビニと歯科医院のどちらが多いか?」という質問をされると、なんとなくコンビニのような気がしてしまう。実際には歯科医院は日本に67,000軒ほど存在し、コンビニは55,000軒程度だ。しかし、ボクたちは圧倒的にコンビニに行く機会のほうが多いので、なんとなくコンビニの方が多い気がしてしまう。
また、選挙の際に、候補者は投票前日の夜ギリギリまで選挙カーで走り回るのも、この利用可能ヒューリスティックの効果を狙ったものだろう。
代表性ヒューリスティック
代表性ヒューリスティックも、利用可能ヒューリスティックとかなり近い認知バイアスだ。こちらは「それが一番もっともらしい…」という思考で判断をす出すことだ。
見た目の特徴などを元に、典型的なイメージを思い浮かべてしまうのがそれだ。例えば、白バイ隊員風のコスプレをした人が白いバイクにまたがって交差点に立っていると、みんな安全運転になるというYoutube動画が物議を醸したことがあるが、それなどは「代表性ヒューリスティック」の影響であるだろう。
アンカリング
アンカリング効果とは、先に与えられた情報や数値によって、無意識に判断がゆがめられてしまうことを指す。最初に見た価格や条件が「基準」になってしまい、それに判断が引っ張られてしまうことを「錨(アンカー)」に例えたネーミングだ。
セールの時に、値引き後の価格と一緒に「元値」を記載することによって、とても安くなっているように感じることなどが、アンカリング効果の代表例だ。
(続きはまた来週)
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
最後まで読んでくださってありがとうございます。
これまで書いた記事をサイトマップに一覧にしています。
ぜひ、ご覧ください。
<<科学的に考える人>>