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「ファスト&スロー」を読む - ⑫認知バイアスの代表例(その4)

さあ、木曜日だ。

木曜日は心理学を取り上げていきたい。
このシリーズでは、ダニエル・カーネマンが書いた「ファスト&スロー」という本を取り上げて、ボクが読み進めながら受けたインスピレーションを書き連ねていこうと考えている。

ご興味おありの方は、ゆっくりお付き合いいただけると幸いだ。


さて、現在は少しだけこの本(ファスト&スロー)の内容から離れている。
この本の [第2部 ヒューリスティックとバイアス] のページから先に進んでいくにあたり、認知的錯覚(認知バイアス)の代表的なものを紹介して、それについての解説を加えている。

基準率の無視

ボクは現在の業務上「確率」の話をすることが多い。
それがどんな確率の話なのかは後日に譲るが、確率論をビジネスに持ち込む場合、複数の確立を重ねて考えなければならないことが多い。例えば「〇〇の場合の確立は◇%だが、△△の場合の確立は◆%」とか、「●●の場合の確立は□%で、その中で▲▲の特性を持つものは■%」などのケースだ。

その際に、最初(〇〇や●●)の確立は無視されがちで、ボクらは後(△△や▲▲)に出された確立の方に引っ張られてしまう。特に計算が複雑に(とはいっても、それらは単純な割り算や足し算であることが甥が…)なればなるほど、ボクらは思考することをあきらめて、すぐ目の前にある確立が正しいような気がしてしまうのだ。

サンプルサイズの無視

確率の話をする場合、その前提条件を確認することが重要だ。
数字は簡単に操作することができる。

例えば「利用者満足度99%」みたいな謳い文句があった場合、何を以って「満足」とするのか、そしてどこからどこまでの範囲の人を「利用者」と定義するのか、そして全数調査なのかサンプリング調査なのかなどによって結果が変わってしまう可能性がある。もっというと、そのサンプリング対象を恣意的にカテゴライズすることも可能だ。

しかし、ボクたちは「数値」を示されたこと自体に安心をして、サンプルサイズに目を向けないまま、その結果を鵜呑みにしてしまう場合が多いようだ。

ギャンブラー錯誤

これもなかなか拭うことのできない認知バイアスだ。
例えば、連続してコイントスを行っていて、8回連続して表が出た場合、9回目のコイントスでは裏が出る確率の方が格段に高いように感じてしまう。しかし(みなさんご存じの通り)いくら連続して裏が出たからといって、次に表が出る確率は変わらず50%である。

ただし、このコイントスの例はそれぞれの事象の確立が独立しているので、毎回裏表50%の確率であるが、例えばトランプの山から任意のカードを引き、その引いたカードを山に戻さずに次のカードを引いていくようなケースにおいては、その確率は常に変化していくとご認識いただきたい。

(続きはまた来週)

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