誰が「物流」を殺すのか - ㉓現在の求人関連メディアはカオス状態
さあ、月曜日だ。
月曜日はボクの得意分野の物流について書く日だ。
前回は「誰でもより良い条件の会社に転職ができる時代」というテーマの記事を書いた。
今日は「現在の求人関連メディアはカオス状態」であるということについて書いていこうと思う。
まずは求人メディアについて知ろう
リクルート社のイノベーションによって、現代の日本のほとんどの企業が求人メディアを頼って採用活動を行うようになった。
しかし、多くの中小企業の社長は求人メディアについて無知だ。
孫子の兵法にも「彼を知り己を知れば百戦殆からず」と書かれている。まずは「敵」である求人メディアがどのようなものなのか知るところから始めなければ、対策を打つことはできないだろう。
しかし、実際には小手先のテクニックひとつで応募が爆上がりするようなものではない。相手は人である。人は感情の生き物だ。そして、転職はその人の人生を左右するような決断だ。
本来の「対策」とは、多くの同業他社の中で「自社の魅力をどう打ち出していくか」というところとなることをご理解いただいた上で、まずはそれぞれのメディアの立ち位置について確認していこう。
求人サイト
リクナビやマイナビ、エン転職などは「求人サイト」だ。
これらのサイトはその中に広告枠を設けて、その枠を販売して収益を得ている。従業員を採用したい企業は、その広告枠を買って「ウチの会社はこんなポジションで働いてくれる人材を募集していますよ!」という宣伝をする。なので、お金を持っている企業は、高いお金を払って他社より大きな枠を買うことによって、応募者が関心を向けてくれることを願うのだ。
タウンワークなどの紙媒体で考えてみるとわかりやすいだろう。
紙媒体の場合はページ数の制限がある。その限られた紙面の中で、広告掲載企業は目立ちやすい場所を取ろうとする。大企業は(一気に採用したいタイミングだったりすると)1ページ丸ごと買ってでっかく広告を載せたりすることもある。
求人検索エンジン
しかし、最近ではIndeedや求人ボックス、Google for jobs、Careerjob、スタンバイといった「求人検索エンジン」を使うサイトの方が優勢になってきている。
求人検索エンジンとは、インターネット上に存在する求人情報をクロールして一か所に集め、求職者が検索しやすい形にして提供するサービスだ。そこには上位表示するためのアルゴリズムが存在し、そのアルゴリズムに沿って「優良な求人」と判断されると上位に表示され、応募者の目に触れやすくなる。
アルゴリズムの細かいところはわからないが、概ね以下のようなポイントで評価が高くなっているようだ。まあ、ざっくりいうとGoogleやYahoo!のアルゴリズムと似たようなもので、採用情報に特化したものになっているということだろう。
・求職者が必要としている情報が詳細に記載されている
・日々新しい情報に更新されている
・求職者に特に人気で閲覧数が多い
Indeedにおいては「オーガニック求人(無料掲載)」と「スポンサー求人(有料掲載)」の2種類があり、当然有料掲載の方が上位(スポンサー枠)に表示される。しかし、昨今では有料掲載が増えてしまっているので、有料掲載の中でもアルゴリズムによってどの位置に掲載されるかが変わるようだ。
Indeedには投稿の方法が2種類あり、求人原稿をIndeedに直接投稿する「直接投稿」での掲載と、既存の求人原稿をIndeed のシステムに読み込ませて投稿する「クローリング」での掲載がある。
Indeedの場合、「Indeedアナリティクス」を使って求人ごとのエントリー数や、どんなキーワードに対してアクセスが多いのかなどの分析が可能だ。(表示回数→クリック率→エントリー率→採用率となり、一般的なエントリー率は0.5%~1.5%程度であるようだ)
採用管理システム
Airワーク(リクルート)、エンゲージ(エン・ジャパン)、採用係長(ネットオン)などは「ATS(Applicant Tracking System)」と呼ばれる採用管理システムだ。
このATSを使うメリットは、ひとつの管理画面で応募者の管理とメッセージのやり取りができることだろう。そして、ATSで自社の採用サイトを作成することができ、さらにIndeedや求人ボックス、その他の求人サイト向けの求人票を作成して一括掲載させることができる。それによって、複数の求人サイトを利用する際の管理工数を削減することができるだろう。
最近のATSは、応募者とのやり取りや履歴書などのデータ管理、および面接の日程調整などの選考進捗状況の一元管理だけでなく、求人媒体ごとの応募状況の分析やレポートなどもできるようになっている。
現代の求人関連メディアはカオス状態
また、最近では業界別に特化した転職サイトも乱立しているので、企業側としてはどこに広告を出すべきか悩ましいところである。
また、転職サイト以外の、HR(Human Resource: 人的資源関連業務)マネジメント関連のサービスなども含めると、さらにややこしさが増す。こうなるとボクもお手上げだ…
(続きはまた来週)
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