競争戦略論[Ⅰ]を読む - ⑬独自戦略の確立と維持のための6つの原則
さあ、水曜日だ。
毎週水曜日はマイケル・ポーター著「競争戦略論」をベースに、ボクの気づきや思考をアウトプットするシリーズを展開している。
先週は「インターネットの普及が引き起こす弊害」という記事を書いたが、今週は「独自戦略の確立と維持のための6つの原則」について書いていこうと思う。
インターネット普及時代の戦略
…で、インターネットが「完全に」普及した現在、もう(1990年代のような)インターネット自体が競争優位の源泉になることはない。
結局一周回って、リアルな「自社ならではの強み(独自性の高いプロダクトやコンテンツ、卓越した知識の提供、優れたサービス、密接なリレーションシップ、など)」が優位性を生むというところに立ち戻り、インターネットを利用することでその優位性を強化する、という戦略を取るべきである。
マイケル・ポーターは、現代の戦略の原則論を以下の6つにまとめている。(日本語の表現は若干ボクが手を加えています)
1. 正しい目標設定
やはり重要なのは「高いROI(投資収益率)を維持する」ことだ。
少なくともROI 100%以上を確保し、それを維持するところから戦略はスタートする。
2. 独自のバリュープロポジション
2つ目の原則は「独自の価値を提案・定義する」ことだ。バリュー=価値、プロポジション=提案・定義の意である。
つまり、重要なのは「特定の用途のプロダクトやサービスを、特定の顧客に、独自の価値を以って提供すること」であって、世界一優れた手法を追求することでも、世界一の品揃えを目指すことでもない。
3. 独自のバリューチェーン
3つ目の原則は「製品の製造・サービスの提供・マーケティング・人的資源の管理方法の4つ(の少なくとも一つ)において、競合他社と異なる仕組みを作ること」だ。
それは、これらの4つにおいてライバルがやっていない活動を編み出すか、同じ活動ではあるものの異なるアプローチで実現する方法を見つけ出すかの二択しかない。
4. 選択と集中
4つ目の原則は「選択と集中」だ。
手広くやろうとすると、間違いなく優位性を失う。バリューチェーンの4つの活動において、何かを特化させ、その代わりに何かを切り捨て(諦め)なければならない。資源を投資しさえすれば一定以上のレベルに達するが、自社の独自のバリュープロポジションになり得ないプロダクトやサービスは、すぐに他社に真似されてしまうのだ。
5. バリューチェーン全体の関係強化
5つ目の原則は「バリューチェーン全体の関係強化」だ。
プロダクトやサービスを単体で強化しても、すぐに競合他社に真似されてしまう。しかしバリューチェーンが独自のものであり、それぞれの部署が互いに刺激し合い、評価し合い、補完し合う関係性であれば、ライバルが真似することが難しくなる。
6. 方向性の維持継続
6つ目の原則は「方向性の維持継続」だ。
企業において継続的な改善は重要だが、方向性がブレてしまうと顧客やステークホルダーからの評価を下げてしまう。そのためには、明確な「ミッション」「ビジョン」「バリュー」が掲げられていて、それを基にして独自のバリュープロポジションを定義すること、そしてそれを守り続けることが重要だ。
(続きはまた来週)
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