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「ビジョナリー・カンパニー」を読む - ③企業の価値観とは、その企業で働く人の働く理由とその責務である

さあ、金曜日だ。

金曜日は、ジム・コリンズの「ビジョナリー・カンパニー」を隅々まで読んでいって、その中から彼が起業家や経営者にあてたメッセージを抽出していこうと思っている。

先週は「企業そのものが究極の作品である」と言う記事を書いたが、今週は「企業の価値観とは、その企業で働く人の働く理由とその責務である」ということについて書いていこう。


利益の追求より理念の追求

ほとんどのビジョナリー・カンパニーにとって、「株主の富を最大限に高めること」や「利益を最大限に高めること」は、大きな原動力でも最大の目標でもなかった。ビジョナリー・カンパニーはいくつかの目標を同時に追求する傾向があり、利益を得ることは、そのなかのひとつにすぎず、最大の目標であるとはかぎらない。

ビジョナリー・カンパニー -時代を超える生存の原則- 第三章「利益を超えて」より

ジム・コリンズによると、ビジョナリー・カンパニーは理念に徹する傾向が強く、純粋な利益志向が薄い傾向があるそうだ。

それは、ビジョナリー・カンパニーが収益性や長期的な株主の富の形成に関心を持たないということではなく、利益を追求しながらも、もっと広い視野に立って、もっと意義のある理想を追求しているということだ。つまり「OR」ではなく「AND」の視点で経営を推し進めているのだ。

ソニーの企業理念

この本の中では、日本のビジョナリー・カンパニーの代表として「ソニー」が取り上げられている。ソニーグループは、言わずと知れた世界的コングロマリット企業だ。2023年決算で連結売上高11兆5398億円、従業員数11万3000人、JR品川駅の港南口に本社を構えている。

ソニーは創業当初から企業理念を大事にしてきた企業である。
創業者の井深大は終戦直後の1945年に東京・日本橋で「東京通信研究所」を立ち上げた。彼が37歳の時だ。その翌年、法人化をする際に、彼は以下のような「設立趣意書」を作成している。

これらの人たちが真に人格的に結合し堅き協同精神を持って思う存分技術能力を発揮できるような状態に置くことができたら……その運営はいかに楽しきものでもありその成果はいかに大であるか……。志を同じくする者が自然と集まり、われわれの発足がはじまった。

会社設立の目的
・技術者たちが技術することに喜びを感じ、その社会的使命を自覚して思い切り働ける職場をこしらえる。
・日本再建、文化向上に対する技術面生産面よりの活発なる活動。
・非常に進歩したる技術の国民生活内への即時応用。

経営方針
・不当なるもうけ主義を廃しあくまで内容の充実、実質的な活動に重点を置きいたずらに規模の拡大を追わず。
・技術上の困難はこれをむしろ歓迎し量の多少に関せず最も社会的に利用度の高い高級技術製品を対象とす。
・一切の秩序を実力本位、人格主義の上に置き個人の技能を最大限に発揮せしむ。

価値観とは働く理由とその責務

基本理念は、組織の土台であり指針であり理想である。
基本理念は、自分たちが何者で、何のために存在し、何をやっているのかを明確に内外に宣言するものだ。それは、その組織で働く人たちの「働く理由とその責務」を深く浸透させることを目的としている。

その「働く理由とその責務」こそが、企業が根底に持つべき価値観であるべきだろう。

(続きはまた来週)


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