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環境問題を理解する: 放射性廃棄物の処理

さあ、火曜日だ。
火曜日は環境問題について書く日だ。
この「環境問題シリーズ」にはボクの考えが入る余地はない。ただひたすら事実を正確に書くことを目指しているが、将来的に新しい考え方や技術が導入され、ここに書いたことは古くなっていくことをご理解いただきたい。

今日は放射性廃棄物の処理について書いていこう。


災害廃棄物の処理

環境省は、地震や風水害などの自然災害により発生する災害廃棄物を円滑・迅速に処理するための関連法やガイドラインを定めている。

しかし、2011年3月11日に発生した東日本大震災で、東京電力福島第一原子力発電所の事故が起こり、大量の放射性物質が施設外に放出されるという、日本における最大級の環境汚染を引き起こしたことで、法体系の穴が発覚することになった。それは、原発施設自体には、原子炉等規制法や放射線障害防止法によって対策が定められていたものの、施設外への適用は想定されてなかったことによる。

事故によって原発から大気中に放出された放射性物質は、風で運ばれて、雨や雪によって地表に降下する。地表に降下して沈着した放射性物質が発する 放射線は直接的な被ばく(外部被ばく)だけでなく、農水産物などの食物経由で被ばく(内部被ばく)を引き起こす可能性があるので、それを防止するための措置が必要になった。

放射性物質汚染対処特措法の制定

国は、この放射性物質による環境汚染の法の空白を埋めるために、2011年8月26日に「放射性物質汚染対処特措法」を成立させた。この法律に基づいて「警戒区域」または「計画的非難区域」に指定されていた地域は「除染特別地域」に指定され、国の直轄で除染を行い、「汚染状況重点調査地域」に指定された地域は、市区町村が策定した除染実施計画に基づく除染が実施されることとなった。

まずは人の健康の保護が重要視され、その中でも放射線の影響を受けやすい子供の生活空間(学校や公園など)の除染が最優先に行われた。農用地に関しては、農業生産を再開することができる条件を回復させること、森林部分に関しては住居に近い場所を優先させて除染を行うという方針で進められた。除染の具体的な方法は、土地の表土や落ち葉などを削り取り中間貯蔵施設に搬入(30年後に県外処分する予定)する、もしくは表土と下層の土の入れ替え、コンクリートなどで被ばく土壌を囲むなどである。

放射性廃棄物の処理

東日本大震災によってフォーカスされることになった放射性物質の影響だが、実際には事故がなくとも原子力利用から放射性物質を含む廃棄物が発生しており、それを「放射性廃棄物」と呼んでいる。放射能は時間とともに自然に減衰するが、極めて慎重に対処しなければ、長期間にわたって人体や環境に影響を及ぼす可能性がある。

放射性物質の発生源としては、ほぼ原子力発電所しかないのだが、そこで発生する放射性廃棄物は、使用済み核燃料だけでなく、保守作業に使われた衣服や道具、除染に使った水なども該当する。また、原子力施設の廃炉や解体などが行われる場合、そのがれきなども大量の放射性廃棄物となる。

日本においては、それらの放射性廃棄物に含まれる放射能のレベルにより「高レベル放射性廃棄物」と「低レベル放射性廃棄物」に大別され、さらにいくつかの分類を行って、それぞれ管理や処分の方法が定められる。

低レベル放射性廃棄物の処分方法

低レベル放射性廃棄物は、それに含まれる放射能のレベルによって、いくつかの方法(浅い地中に直接埋める、地下50~100mにコンクリート製の囲いを設けてその中に埋める、など)に分けて処分される。また、国がその放射性廃棄物の放射能のレベルが下限値(クリアランスレベル)を確実に下回ることを確認した場合、再生利用が認められる制度もある。

高レベル放射性廃棄物の処分方法

高レベル放射性廃棄物は、強い放射線を出す放射性物質と長期間放射線を出し続ける放射性物質の両方が含まれているので、人や環境から隔離した状態で処分すべきとされている。具体的には放射性廃棄物を特殊な容器に入れ、地下数百メートルの地中に埋設処分するのだが、そもそも原子炉から取り出したばかりの高レベル放射性廃棄物に人間が近づくことができるまで100年ほどかかると言われていて、遠隔操作によって厚い金属容器に移し替える作業などはそう簡単に進められるものではない。

(続きはまた来週)



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