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誰が「物流」を殺すのか - ⑧ネット通販物流(ネット通販の歴史と現状)

さあ、月曜日だ。
月曜日はボクの得意分野の物流について書く日だ。
先週は「KPI管理とは何か」というテーマの記事を書いた。

今日から何週かかけて「ネット通販物流」について書いていこうと思う。


ネット通販とは、インターネット上にで行われる物やサービスの取引のことを指す。「電子商取引」という呼び方をするが、英語表記である「Electronic Commerce」の省略形の「EC」「eコマース」という言い方の方が一般的かもしれない。

通信販売の歴史

通信版売自体の歴史は古く、アメリカでモンゴメリーワード社が1872年に、シアーズローバック社が1886年に始めたとされている。当時は当然カタログ通販だったが、シアーズローバックのカタログ配布数は300万部以上だったそうだ。

一方、日本で最初の通信販売は1876年「農業雑誌」である。その後1900年代に入って、百貨店が外売通信系を設置するなどし、通信販売を拡大させようとしたが、日本ではなかなか普及しなかった。しかし1970年以降、テレビショッピングの台頭と宅配便の拡大により、通信販売は一般に認知されるところとなった。その後1990年代にはインターネットの普及により、ネット通販が一般的に、さらに2000年にはAmazonが日本で販売を開始したことによって、通販利用者は右肩上がりに増加している。

ネット通販の形態

ネット通販事業者にはいくつかの類型がある。
まず業態として、ネット通販専業であるのは、Amazon、楽天、Yahoo!などだが、Amazonは自社で商材を仕入れてフルフィルメントセンター(顧客から注文を受けて商品を届けるまでの一連のプロセスを行う倉庫)で在庫保管して販売するスタイルなのに対し、楽天やYahoo!はモール型(ネット通販の総合サイトを用意し、そこに商品を販売したい企業や個人が参加するスタイル)だ。しかし、Amazonも「セラーセントラル」や「FBA」など、Amazonサイトをモールと同じような使い方をすることができるサービスを展開しているし、最近では楽天やYahoo!も自社フルフィルメントセンターを持つようになってきている。

また、Amazon、楽天、Yahoo!が個人向けの販売を中心としているのに対し、アスクル、カウネット、大塚商会(たのめーる)などは企業向けの販売を中心にしている。さらに、ZOZOTOWNやSHOPLIST、MAGASEEKなどのファッションに特化したネット通販サイト、ハートプラスやナースリーのような医療関係者向け、モノタロウのような工業系事業者向けに特化した通販サイトも存在するようになった。

上記の通販会社は、概ね外部のサプライヤーから商品を仕入れて、それを販売する「実店舗を持たない小売店」であるが、それに対してネットスーパーなどは店舗の在庫を店舗でも販売し、通販でも販売する業態である。このような形態を「オムニチャネル」と呼び、ユニクロやニトリや無印良品、一部の大型書店やコンビニなどでも販売戦略として導入している。

物流事業者が行うべきこと

このように、ネット通販業界は細分化され、様々な差別化戦略が進められている。そういった中で、物流事業者もそれに応じた進化を遂げなければならない。いや、少なくとも相応の知識を身に着けるべきだ。

そうでないと「情報の非対称性」が起こり、買い手(この場合は荷主)が有利になり、売り手(この場合は物流事業者)が不利になるのは当然だ。それが(買い手側に悪意がなくとも)市場の競争原理なのだ。

(続きはまた来週)



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