大手牛丼チェーン店も物流目線で見てしまう癖
忙しくなると食生活が乱れる
このところ本業の方が忙しい。
それは良いことなのだが、いくつか悩ましい事態にも陥ってしまう。
そのひとつは外食が多くなってしまうことだ。
忙しいときはどうしても手っ取り早く済ませられる食事になりがちだ。昨年の健康診断がきっかけでスタートした「糖質オフ生活」を維持することも難しくなってしまっている。
気を付けなければ…
松屋の朝食セットを食す
さて、ここからが本題だ。
先日、移動の途中で朝食を食べようと思い、松屋に入った。
入口の券売機でベーシックな朝食セットの食券を買い、ボクはカウンター席に着いたのだが、そこで気づいたのが目の前にあったコレだ。
これはトヨタ式の5Sじゃないか。
「不特定多数の人が使うものは、定位置を決めてその場所に保管する」という王道の定置化だ。
ボクが座ったカウンターは、対面の人と目が合わないよう目隠しの仕切り板が設置されていたが、調味料は小さめのプレート上に8種類の小瓶が置かれていて、そのプレートは対面+その隣の人の4名で共同使用する位置関係に置かれている。つまり、その8種類の小瓶は4名の(外部から来た店内のルールを知らない)お客がそれぞれのタイミングで手に取ることになる。
このプレートには、8種類の調味料それぞれを置く位置に「しょう油」「ゴマドレッシング」などのシールが貼られていて、手に取った調味料をどこに戻すべきなのかが一目瞭然でわかるようになっている。しかも、ちゃんとイラストと色で視覚的に判別しやすくしてある。
「図解 トヨタの片づけ」から読み解く定置化と導線
ボクは5S初心者にこの本を勧めることが多い。
この本を読み進めていくと、「他人が30秒で探せるように"定位置"を決めなさい(CHAPTER_03 - LECTURE_06)」という章があるが、この調味料を置くプレートは、まさにこの考えを実践したものだ。
ボクが入ったのは都内の小さな店舗だったが、店内の導線も良く考えられていた。
入口のドアは横にスライドするタイプで、開けるのは手動だが手を離すと自動で閉じるようになっている。そのすぐ奥の左手に券売機が置かれていることを鑑みると、そこに行列ができて導線を阻害することに配慮して、横スライド半自動のドアを採用したように思う。
店内の導線も狭い割にはよく考えられている。
食券が発券されると、その注文データは自動的に厨房に伝わる仕組みになっているので、お客はそのまま正面のカウンター席か、左手のテーブル席に着く。厨房が置かれているのは入口を入って右側だ。注文した商品が出来上がるとサイネージと音声案内でお知らせされ、お客は店内をぐるっと回るようにして厨房の窓口で商品の載ったプレートを受け取り、自分の席に持ち戻る。
ひとりが曲がると隣も曲がる
もう一つ、これも松屋が意図的にやっていることではないかと思っているのが、カウンターの席ごとに貼られているPR用のシールだ。
このシールが貼ってあることによって、一人のお客の使用するスペースが明確になり、隣にはみ出しづらくなる。そうするとお客同志のトラブルも減るだろう。トラブルまで発展しなかったとしても、少なくともお店に関係ないところでネガティブな印象を持たれてしまうことを減らす効果はあるだろう。
ひとりの人が曲がると、隣の人もそれに倣って曲がるものだ。そして、最初のひとりの人の感覚に「正しい位置」委ねてしまうのはリスクが高いし、都度店員が口頭で伝えるのも非効率だ。こういう時は「線を一本引く」ことで解決する。それをシールを貼ることで実現しているのだと思った。
【結論】松屋の5Sは素晴らしい
コスト削減のためにセルフサービスを導入するお店は多いが、松屋は頭一つ抜けていると感じた。お客を巻き込んで5Sを推し進めることで(折を見て店内清掃などには来るだろうが)店員が店内に出てくる回数を減らすことができ、かなりの効率化が実現できているだろう。
効率化は、何か最新式のテクノロジーを導入することだけで実現できるようなものではないのだよ。
ちょっと、松屋の「快適なお店」のポリシーを垣間見た気がした。
たまには外食をするのもいいもんだ。
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