【ソフィア保育園】園便り 2021年2月
先日、NHK の「逆転人生」という番組を見ました。関西きっての教育困難校
といわれ、年間の中退者が 100 名近く出ていた大阪府立西成高校が就職率
100%を目指せる高校になっていく過程が実際の人物から語られていまし
た。
遅刻は日常、校庭にも校舎内にもたくさんの吸殻の跡、注意した教師には反
発もしないが無視。2006 年、このままではいけないと現校長の山田勝治先生
を含む教師たちがプロジェクトを組み、まずは家庭訪問から始めます。そし
て、その家庭訪問から、家庭で大事にされていない子ども達の姿が浮かび上
がってくるのです。
「なんで遅刻したんや!」から「よくでてきたな」に、先生は言葉から変え
ていきます。
その当時、生徒であった青年は、「夢なんかなかった」「何も考えないのが
一番やった」と語っています。
家族崩壊し住むところさえなくなった生徒を役所に連れていき、施設に入ら
ず一人暮らしができるよう交渉し、高校卒業まで面倒をみた先生たち。その
思いを「私らが最後の砦やと思った。生きる力をつけてやることが私らの使
命。未来の宝をこのままにしておくことはできなかった」と話されていまし
た。
「夢なんかなかった」と話していた当時の少年は今 27 歳となり立派な社会
人として巣立っています。
当時を振り返り彼は、「先生の情熱で変われた。人間ってすごいと思う。今
の夢を叶えたい。そして、僕も勇気を与えられる人になろうと思う」と語っ
ていました。
プロジェクトの 1 つとして「反貧困学習」という授業を実施されています。
どんな状況にあろうと、自分で考え行動することを具体的に教えていく学習
です。国の制度を活用することや、社会にある自分に必要な施設の利用方法
など、まさに生きていく上での知識や知恵を教えます。生徒は、次第に自分
のことを意識し始めどう生きていくかを考え始めます。まさにこの授業を聞
いた生徒たちは自ら主体的に生きていくことを決定してくのです。
「教育」の根幹には「生きる力」を培うことがあることを大人は忘れてはい
けないと思いました。自分の周りに限りない好奇心をもって大人を純粋に信
頼する心を持つ乳幼児期の子ども達の「生きる力」の芽をつむことないよう
にしなければと思います。子どもの心に共感することも、子どもがふさわし
くない行動をしたときも、その先に、「生きる力」をもつ子どもをが育つよ
うな関わりをすることが私たちの使命だと改めて思います。
ソフィア東生駒こども園 園長 中畑直実