「オンボロ屋敷の桃色ヤモリくん」第14話
「ハルオとヤモリくん」
黒猫のコムギちゃんとヤモリくんは、流れ星の不思議な力により、窓の外と家の中に居ても、お互いに意思疎通が出来るようになった。
それなので、2人は、いつもお喋りをしている。
しかし、ヤモリくんとハルオやサクラは、ヤモリくんとは直接話すことは出来ずに2人の夢の中に現れてお告げとして2人を助けているのだった。
ヤモリくんが、はじめてオンボロ屋敷に現れたのは、今から3年前ほどの事だ。
ハルオが、家の壁に張り付いているヤモリくんを見つけたのだった。
ハルオは、その前にも、近所の家の壁に張り付いていたヤモリを見た事があったのでトカゲと見間違える事はなかった。
しかし、間近であらためてヤモリをしげしげと観察したハルオは、その丸っこい顔と体の可愛らしさにホノボノとした気持ちになったのだった。
それからハルオは、家の外に出るたびにヤモリの姿を探していた。
しかし、見つけられない時には。
今日はヤモリくんは居ないのかなと、少し寂しい気持ちになるのだった。
そして、秋になり冬が来て最初の年がすぎた・・・。
翌年になり、春がきて温かくなってくると。
またヤモリくんの姿を発見できた時には、ハルオは、何だかとても嬉しい気持ちになった。
しかし、夏になりヤモリくんも活発に活動するようになると。
ハルオは、ヤモリくんが、たった1人である事に寂さを感じるようになっていた・・・。
「ヤモリくん、君はたった1人で寂しくはないのかい?」と尋ねてみたい気持ちになったのだった。
ところがである、ハルオが、よくよく観察してみると。
ヤモリくんは、たった1人ではない事が分かったのだ。
たった1人だと思っていたヤモリくんには、何匹かの仲間がいたのだった。
ヤモリくんよりも、だいぶ小さな子供のヤモリくんもいるし、ヤモリくんよりも、もっとズングリとした、おっきな丸い頭をしたヤモリくんもいるようなのだった。
この事が分かると、ハルオは喜んだ。
「おお、ヤモリくん。いや、もうヤモリくんたちだね。君は、最初は1人ぽっちかと思っていたけれど、子供や、お友達もいたんだね」と、ハルオは、ヤモリたちの顔を見て微笑んだのだった。
そして、その年の夏も終わり。
辺りはまた秋の装いを深めて来たのだった・・・。
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連載小説(不定期)
「オンボロ屋敷の桃色ヤモリくん」第13話「ハルオとヤモリくん」
終り
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「オンボロ屋敷の桃色ヤモリくん」第15話「カッパが、で、でた?」その1 へつづく
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2020.10.17