「オンボロ屋敷の桃色ヤモリくん」第7話
黒猫コムギ(1)
ボクは、庭のキウイの枝を何本か折ると家に戻った。
このキウイの枝は、たまにだが、我が家の愛猫コムギに与えるだめだ。
キウイは、マタタビ科マタタビ属で、猫が好むあのマタタビと同属だ。
マタタビは、日本の山野などにも自生していて、山道など歩いている時に、風にふかれて、ときどき葉裏の白い木の枝をみかけるが、それがマタタビの木だ。
山野に自生するマタタビの木には、キウイフルーツを小さくしたような実がなり猫ばかりでなくマタタビ酒など人も利用する事もある。
そして、猫は、キウイの実も食べると言うが、ボクはまだコムギに与えた事はない。
もともと肉食の猫が、植物性の物を多くとる事は猫にとっては良くないのではと思ってのことだ。
コムギは、与えられたキウイの枝に嬉しそうにゴロゴロと喉を鳴らしながら頭と体をこすり付けている・・・。
その様子を見るのは、何か人の心も穏やかにする。
黒猫のコムギが、僕たちのオンボロ屋敷にやってきたのは3年ほど前の事だった・・・。
ある日のこと、朝早くに家の外から子猫の声が聞こえてきた。
「ミャーオ、ミャーオ、」と、とても大きな声で鳴いている。ボクは、眠い目をこすりながら外に出てみた。
しかし、声はすれども姿は見えなかった。
妹のサクラも起きて来て2人で周りを探してみたが、いつしか鳴き声が聞こえなくなったので、その日はそのままにした。
ところが次の日も、また朝早くから大きな声で鳴いている声が聞こえた。
どうやら、人の気配がすると怖がって姿を隠しているようだった。
しかし今度は、2人で声の聞こえる辺りを探し回ってやっとその姿を見つけることができたのだが。
そこにいたのは、まるで小さな小さな子熊のように真っ黒な子猫だった・・・。
連載小説(不定期)
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連載小説(不定期)「オンボロ屋敷の桃色ヤモリくん」第7話「黒猫コムギ(1)」
終り
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2020.8.29
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