「オンボロ屋敷の桃色ヤモリくん」第6話
「風来町」
ボクと妹のサクラが住んでいる町は、風来町というちょっと変わった名前だ。
いや、町というよりも村といった方がピッタリかも知れない。
この町には、多くの芸術家たちが今は空き家となった家を自分たちで改装や改築したりして住んでいる。
だから、どの家も変わった建物だったり色々な色が使われていたりしてとてもカラフルでおもしろい。
これは、この町あげての過疎化対策の一環でもあり、町のあちこちに、いわゆる芸術家村のようなコミニティーが出来あがっているのだ。
そして、この町に住むのは芸術家たちだけではなかった。
この町に住む芸術家以外の人々は、都会から自然を求めてやってきた者や、ふらりとやってきて、この町の芸術家たちがもつ特有の自由さや大らかさが気に入り住み着たち者たちもおおぜいいる。
彼らの多くは、この町で自然農法での野菜作りをしたり、養鶏や養豚なども実践しているのであった。
そんな、何処からかやってきた者たちの集まりとも言える町の名前が「風来町」とは偶然としてもよく出来ているではないかと、ボクは思っているのだった。
オンボロ屋敷の、庭を散歩しながら庭の先にある家庭菜園で畑仕事をするサクラの姿を望みながら、そんな事を考えていると。
ボクは、庭に出た目的を忘れる所だったのだが。
そうだ、猫のコムギのために、ある木の枝を取りに来たのだったと思い出し、その木の枝を数本折って手にすると家にもどったのだった・・・。
連載小説(不定期)
「オンボロ屋敷の桃色ヤモリくん」第7話「黒猫コムギ(1)」へ つづく
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
連載小説(不定期)「オンボロ屋敷の桃色ヤモリくん」第6話「風来町」
終り
第5話はこちら
終り
2020.8.22
いいなと思ったら応援しよう!
ご無理のない範囲で投げ銭や記事のご購入やサポートでの応援を頂けましたなら幸いです。高齢の猫(定期的な抗生物質注射が必要な為)の治療費に使用したいと思っております。投げ銭や記事のご購入やサポート頂けた方には、X(ツイッターフォロワー合計7万)で記事を共有(リポスト)させて頂きます。