我が愛しの映画たちの思いで第二回
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第二回 黒澤明の「隠し砦の三悪人」
第二回は、いよいよ僕が観た映画本編の思い出です。
しかし、あくまでも映画を観た思いでですので取り立てて詳しく調べたり、改めて観返したりしている訳ではありませんので。映画の内容など記憶違いなどもあるかも知れませんが、その時はご容赦ください。
「隠し砦の三悪人」は僕の中では黒澤映画の中で、七人の侍、用心棒、に次ぐ位のランクに位置づけられる作品です。内容は、戦国時代を舞台にしての冒険活劇物語です。
内容をざっくり言うと、お姫様を家臣の侍が身分を隠して軍資金の金塊と共に敵陣を突破して友好国へ逃れると言う話ですが。ジョージ・ルーカスの「スターウオーズ」へも影響を与えた娯楽大作です。
黒澤作品は、日本とは比べようもないほど海外での人気も評価も高いですが。
それは、黒澤監督が多くの日本人が保持している忠節や忠義や義理など日本人特有の判断基準に囚われていない為と僕は考えています。
要するに、黒澤監督は日本人らしさではなく、ヒューマニストとしての人間らしさを映像化できた監督だったのです。
しかし監督が描く舞台は外国人にとってはミステリアスな魅力のある日本特有の時代劇であって。そこで演じられるのは人間の普遍的問題や人間の感情を黒澤監督の日本人特有なものには囚われない人としてのヒューマニズムで描きだした事が外国人にもよく理解できたので人気につながったのです。
そのような部分が映画の中で顕著にでているのは。三船敏郎が演じる真壁六郎太が、雪姫(上原美佐)の身代わりとして自分の妹を差し出し犠牲にした事を姫が知った場面です。
それを知った男勝りの姫は、怒りもあらわに真壁六郎太を激しく叱責します。姫は、自分の身代わりに命を差し出して、その犠牲の代わりに自分が助かった事に耐えられなかったのです。そのような事をするよりも、いっそ自分が囚われて犠牲に成った方がと・・・。姫の中では、忠義や、その為の犠牲が正しい事とは思えなかったのです。
これ以前の日本映画では、伝統的に主君に対する忠義が尊いものとして描かれてきました。しかし黒澤映画は違っていたのです。
黒澤監督は、家臣は主君の犠牲に成るのが当たり前ではなく。例え家臣の命だとしても尊い一つの命として描いているのです。姫は、その場を離れ一人に成ると、そのことを思い大声を出し大粒の涙を流し泣くのです。この場面は、とても心に残る印象的な場面でした。
それから藤田進が演じる田所兵衛と、真壁六郎太は旧知の中でしたが。いまは敵と味方とに分かれていて劇中で2人が槍で対戦する場面があります。槍での戦いで田所兵衛は、真壁六郎太に負けてしまいまが。
そのことが原因で田所兵衛は、怒った主君から顔面に手酷い傷を負わされます。その後、姫と真壁六郎太が捕らえられると。田所兵衛の顔の傷を見た姫は、家臣を思わない主君の酷い行為をなじります。
その姫の言葉に心うたれた田所兵衛は2人を逃がしますが。姫と真壁六郎太は、田所兵衛に一緒に逃げるようにと誘います。
すると田所兵衛は、裏切り御免の、一言を残すと2人と共に馬で逃げ去ってしまうのです・・・。
なんとも、痛快で愉快な場面ではないでしょうか。日本的忠義とか忠節とか儀理には縛られずに。酷い主君に対しては忠節とか儀理を果たす必要なんかないのだと。そんな主君ならば家臣だって相応の対応をしても良いのだと。なんだか、今の日本の政治や社会にも言えるような事です。自分の正しいと考えた判断で正しい行動すれば良いのだと。
からっと痛快でコメディー的要素もあり、それでいて人の心を打つ場面も豊富にある「隠し砦の三悪人」僕の忘れられない愛すべき思い出の映画の1つです。
我が愛しの映画たちの思いで
第二回 黒澤明の「隠し砦の三悪人」
終り
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広葉(HIROBA)様
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