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AI映画が現実に!?

こんにちは!碇です🧑‍💻🧑‍💻
本日は、AI利活用を描いた映画が
現実になっている実例をお話しします。
  参考:NEXT WORLD (NHK出版)

 フィリップ・K・ディック原作の映画『マイノリティ・リポート』が公開されたのは、2002年のこと。3人の予言者が殺人を予知し、犯罪発生前に逮捕・収監するシステムを描いた作品です。劇中では、犯罪場面の部分的なイメージ映像をもとに犯罪者の居場所を割り出し、そこに急行し逮捕するというシステムでした。この映画の公開から10年もたたないうちに、現実の犯罪予測システムが実用化ました。
 人口6万人の、アメリカ・カリフォルニア州サンタクルーズ。近年、凶悪事件が相次いで発生し、警察官の数が足りないという事態に陥いっていました。サンタクルーズ警察署は事態の改善を迫られていたのです。
「警察官は911(日本の110番)コールにかかりきりで、犯罪抑止のために使う時間がありませんでした。その時間がなくなればなくなるほど、犯罪が増え、さらに時間がなくなっていきます。この悪循環をどうにかしなければなりませんでした」(サンタクルーズ警察署、スティーブ・クラーク副署長)
 2008年に掲載された、ある雑誌の記事に、クラーク副署長は目を奪われました。そこには、サンタクララ大学助教授のジョージ・モラー博士とカリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)教授のジェフ・ブランティンガム博士による研究の成果が掲載されていたのです。それは、犯罪を予測する研究だったそう。
 しかし、博士らの研究では犯罪データがあまりにも少なすぎたため、予測の精度が上がっていなかった。。。クラーク副署長は、サンタクルーズの犯罪データを提供することで、新たな犯罪発生予測モデルがつくれるのではないかと考えました。
 これが「プレディクティブ・ポリシング」(Predictive Policing/予測警察活動)、通称、プレッドポル (PredPol)の始まりです。2011年7月、実際にサンタクルーズ警察に導入されました。


「犯罪は街の中を移動する生き物」

 プレッドポルにインプットされるのは、年間12万件に及ぶ通報や犯罪の記録。さらに、街灯の故障箇所やバーの開店時間も入力すると、人工知能によって場所ごとの犯罪確率のパターンが示されます。それを過去のパターンと照合し、よく似たものを探し出し、最も犯罪が
起こりそうな場所を予測するしくみです。
 さらに、車上狙い、強盗、車泥棒、武器犯罪、けんか、ギャングの犯罪など、犯罪の種類ごとの予測も提示することができるのです。
「犯罪というものは、街の中で生き物のように呼吸をしながら動いていくものです。昨日起こった犯罪を追いかけていても、今日は別の場所に移動してしまいます。それなのに、私たちは昨日起こった犯罪ばかりを追いかけていました。プレッドポルの優れたポイントは、過去に犯罪が起こった場所のデータに基づいて、今日はどこで犯罪が起こるかを正確に予測することができる点なのです」
 導入した初年度、サンタクルーズ警察における逮捕件数は56%増加し、盗難車の発見は22%増加しました。2年経過した時点では、犯罪率が16%減少したそう。


「予測には因果関係はない」

 ただし、その日、その場所でなぜ犯罪が起こるのか、予測の根拠は提示されないのがポイント。人間の警察官であれば、過去の経験から犯罪率の高い場所を選択してパトロールに向かうところ、人工知能はそのようなことは考えません。人間には見えないパターンを読み解いているのです。どのような根拠でそう予測するのかという因果関係はなく、単なるデータ上の相関関係から予測が導き出されているにすぎません。
「なぜ人工知能は優れているのでしょうか。それは、データから人間のバイアスを除去する能力があるからです。警察官はパトロール中に犯罪者を逮捕できる場所を知っています。私たちはそこに引き寄せられ、習慣的にその場所を通る傾向が出てきてしまいます。しかし、人工知能はそこにどのような種類の人が住んでいるかという人口統計には決して踏み込んでいきません。いつ、どこで、どのような犯罪が起こったかということだけに基づいているので、先入観がないのです」
 クラーク副署長はそう語ります。ロサンゼルス市警の犯罪分析官は非常に優秀で評価が高いといいます。彼らとプレッドポルを勝負させる機会があったとき、2倍以上のスコアでプレッドポルが勝ったそう。犯罪予測において、すでに人間の優位性はなくなってきているのが現状かもしれません。


「プライバシーは侵害しない」
 

 あるとき、プレッドポルが閑静な住宅街に犯罪を予測しました。犯罪とは無縁そうな、パトロールの対象からは外れてしまうような穏やかな場所です。しかし、プレッドポルの予測に従って警察官が駆けつけてみると、挙動不審の男性がいます。職務質問をすると彼は過去の犯罪から保護観察処分を受けていることが判明、ナイフを所持しており、ポケットの中から窃盗品が見つかったそう。

「プレッドポルを使用していなければ、こんな場所にパトロールに来ることはなかったでしょう。でも、予測エリアの真ん中で、予測どおりに犯罪者がいて、逮捕にこぎつけたのです」

 プレッドポルは、きわめて限定された情報だけで予測を導き出します。過去の犯罪の情報にしても、個人名や動機など個人情報に関わる部分はインプットされていません。プライバシーの問題もクリアしているのです。バーの開店時間や街灯の故障箇所も、誰にでも手に入れられる情報です。それでもかなり精度の高い予測を出すことができることから、各地で導入が進んでいます。アメリカ以外にもイギリスのケントやヨークシャーでもプレッドポルが導入されています。また、ニューヨーク市警は人工知能「ワトソン」を使った犯罪予測システムを稼働させているよう。シカゴでは、犯罪を起こしうる人物のリストを人工知能が作成し、警官がその対象者を監視することも始まっています。

 いずれは、「誰が・いつ・どこで」犯罪を起こすかというところまで予測できるようになるということが、人工知能研究者の間で真面目に話し合われているそうです。


「まとめ」

映画『マイノリティ・リポート』では、主人公は策略によって殺人の加害者と予知され、投獄されました。実際にまだ起こっていない犯罪で逮捕される未来――、少し考えすぎかもしれませんね。しかし、人工知能が導き出した予測が正しいかどうかも人間が判断することに意味がなくなっていく可能性は十分にあるでしょう。

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