【連続小説】騒音の神様 68 花守、運送屋でアルバイト。

花守は日曜日の朝、夜間工事を終えて帰宅した。汗まみれのシャツを着替えて、すぐに出かけようとする。神様は「今帰って来たとこやのに、もう行くんか、仕事か、」と花守に話しかけた。花守は「すぐ行きます。こないだ言うてた、運送屋の仕事ですわ。行ってきます。」と徹夜の後だとは感じさせずに、ごく普通に出かけた。神様は「元気やなあ、よう働くなあ、わしも見習わんとなあ、」と言いながらタバコに火をつけて、朝からの瓶ビールを開けて飲みだした。
 神様がビールで良い気分の頃、花守は聞いていた運送屋の配送所に着いた。誘ってくれたオッチャン、堺さんが入り口に迎えに来てくれた。「おはよう、よう来てくれたなあ。助かるわ。日曜日にはありえへん位、荷物が溜まっててなあ、」と配送所の中へ花守を連れて行った。そこには、明らかにトラックから降ろしただけの荷物が、まさに山のように積まれていた。「みてあの山。あの山の荷物をやな、行き先別に分けていかなあかんねん。昨日やっとかなあかんねんけど、最近色々あってな。人が足りてないんや。」と言った。花守は、配送所で働いたことはあったので、なんとなく今日の仕事は分かっていた。花守は「分かった。ほんで今日は何人来るんかな、」と堺のオッチャンに聞くと「あと一人や。まあ、リーダーやねんけど口がちょっと荒いんや。あんまり気にせんと頑張ってくれるか、」と言ったので花守はとりあえず「わかった」と返事した。堺のオッチャンと花守が立ち話で仕事の説明を聞いているとき、男が一人入ってきた。そして「何をじっと立っとるんや、さっさと動けやボンクラ。」と大声で怒鳴ってきた。

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