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神は人を耐えられないような試練にあわせず、またそれから逃れる道をも備えている——新約聖書「コリントの信徒への手紙」より

あなたがたを襲った試練で、人間として耐えられないようなものはなかったはずです。神は真実な方です。あなたがたを耐えられないような試練に遭わせることはなさらず、試練と共に、それに耐えられるよう、逃れる道をも備えていてくださいます。

日本聖書協会. 聖書 新共同訳 新約聖書 (p.569). JAPAN BIBLE SOCIETY. Kindle 版.

新約聖書「コリントの信徒への手紙 第一」第10章13節よりの引用。

「神は乗り越えられる試練しか与えない」というドラマ「JIN-仁-」でも有名な言葉があるが、元は新約聖書の「コリントの信徒への手紙」の中の一節である。

「コリントの信徒への手紙」は『新約聖書』に収められた書簡の一つ。使徒パウロと協力者ソステネからコリントの教会の共同体へと宛てられた手紙である。この手紙はエフェソスで書かれ、おそらくパウロのエフェソス滞在の三年目の五旬祭を前に書かれたものであると考えられている。このころ、パウロはマケドニアの信徒を訪ね、コリント(コリントス)へもまわろうとしていたと考えられる。しかし、コリントの共同体がもめているという話を知らされたパウロは愕然とした。この話をパウロは、協力者アポロやクロエの家の人々から、またステファナらが直接もたらした書簡によって知ったのだった。当時のローマ帝国には一般市民が利用できる郵便配達システムは存在しなかったため、手紙は旅行者によってもたらされていた。

パウロがこの手紙を書いてコリントの共同体の人々に伝えたかったことは「信仰によって一致してほしい」ということであった。また、この書簡を利用してコリントの人々からの疑問に答えている。

第10章13節は「偶像への礼拝への警告」と題されている。私たちの先祖は皆、モーセに属するものとなる洗礼を受け、皆同じ霊的な食物や飲み物をいただいた。しかし彼らの大部分は荒れ野で滅ぼされた。それは私たちを戒める前例として起こったのである。

偶像を礼拝してはいけない。つまり、本当の信仰によらず、見せかけの何かを頼って生きてはならない。飲み食いし、快楽にふける生き方も同じである。またキリストを試みてはならない。また不平不満を言ってはならない。彼らはみな滅ぼされた。それらが書き伝えられているのは、私たちに警告するためなのである。あなたがたを襲った試練で、人間として耐えられないようなものはなかったはずである。神は真実な方であり、あなたがたを耐えられないような試練にあわせることはなさらず、試練と共に、それに耐えられるよう、逃れる道をも備えてくれているのである。だから、神の真実のみ心を信じ、偶像崇拝をすることをやめなさい。ただ、神を信仰する心とともに生きなさい、とパウロはいうのである。

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