二百三十四話 閑静な街並み
大天使と天使側の人間に狙われている私…。
心配してくれている翼さんと別れることになった
大好きで愛している翼さんといきなり別れることになってものすごく悲しい。
喫茶店「天使の扉」で働くことになった私に、優しく色々教えてくれた翼さん。
いつも優しく抱きしめてくれる翼さん…。
私の最初で最期に愛した?とても綺麗な翼さん…。
別れたくないけれど、不思議な力に導かれ翼さんの部屋を出て行ってしまう私。
部屋を出て行って、駅に向かって歩き出してしまうのでした…。
多分、翼さんの天使の力で身体が勝手に動いてしまっているらしい。
見えない力に操られてて(翼さんの力なので、嫌な感じは全くない)駅に向かう。
その道すがら、再契約した女悪魔グレモリーと再開してしまう…。
「ご主人様はこれから魔王様達と会って、再契約してもらわなければなりません」
私の腕を掴んで、静止させてグレモリーはいきなり切り出した…。
グレモリーの話では、魔界の魔王達もこの世界に転生?して来ているらしい。
再契約すれば、また魔王達を私の支配下に置くことができるらしかった。
東京に来たばかりの私なら、すごい喜んだだろう…。
でも、正直、どうでもよかった…。
「ご主人様、しっかりしてください。天使の力に支配されてますね」
グレモリーは私の背後に手をかざして、何かを切る仕草をした…。
途端に私の身体は糸が切れた操り人形のようになり、バランスを崩した。
前のめりに倒れそうになる私の身体を、グレモリーが支える…。
グレモリーは、私の身体をぎゅっと抱きしめた…。
「どんなことがあっても、ご主人様はグレモリーが守りますからね」
グレモリーは私の耳元で、そう囁いた…。
「ご主人様は実家に帰りたくないのですよね…?」
グレモリーは私の瞳をじっと見つめている…。
「それなら、私の家に来ませんか?」
え?グレモリーの家に??いいのかな???
「いいんですよ、ご主人様。遠慮なさらずにいらしてください…」
私はこのままグレモリーの家に行っていてもいいのかな?と一瞬考えた。
けれども、あの両親と姉の待つ家に帰るのは何にせよ嫌だった。
とりあえず、グレモリーの家に行ってみようと思う私だった…。
グレモリーの家に行くことにした私…。
グレモリーはどんどん歩いていく…。
どうやら御茶ノ水方面に歩いているらしい…。
私は疲れているので、あまり歩きたくはないのだけれど…。
土地勘がない私は、はぐれないようについていくので精一杯であった。
水道橋に行くか行かないかの手前、その間にこの辺学校が多くない!?
大きな建物が多いと思って、夜でよく見えないけれど…。
どうやらその建物たちは学校なのであった…。
学校が多く、夜なので当たり前だけど生徒も先生もいなく…。
あたりは人気がなく、静まり返っていた…。
東京には珍しく、閑静な街並み…。
朝は通学する生徒で溢れかえっているんだろうなぁ…。
中高生も多いだろうし、大学生も多そう…。
いろんな制服の女の子や、オシャレな私服の大学生のお姉さんもいっぱいいそう…。
べ、別に変なことを考えているんじゃなくて…。
昼間は賑わっているけれど、夜はかなり人がいない静かな街って…。
大きな建物が、得体の知れない大きな獣に見えて少し怖いのだった…。
さすが東京だけあって、全くの無人というわけじゃなくて、たまに人とすれ違う…。
東京に来て思ったのは、人通りが多いからか、どの人も無関心だなぁと思った。
うちの地元はすれ違う人を、どんなひとだ?と一瞥してしまう感じだったけれど。
東京はいちいちそんなことを気にしないのか、ほとんどの人が無関心にすれ違っている。
そういう感じが東京砂漠なんだろうなと痛感している…。
うちの父親がよく東京は砂漠だぞと言っていた…。昔流行ったフレーズらしい…。
子供の頃の私は、本当に東京に砂漠があるのかと思って、ビビっていたのを覚えている。
「ご主人様、ご主人様の生活についてはこのグレモリーにお任せください」
突然、グレモリーに言われて、私はびっくりしてしまった。
グレモリーは学校の間を通って、小さなビルにたどり着いた。
そこに地下に行く階段があって、そこを降りていく…。
なんのビルかわからないぐらい老朽化している…。
ここがグレモリーの家なの???私は不審に思った…。
「ようこそ、我が家へ。自分の家だと思ってくつろいでくださいご主人様」
階段を降りたところにあるドアをあけ、その中に案内してくれるグレモリー。
怪しすぎるけれど、私は意を決して、グレモリーの家に入っていく私であった。