三百五十六話 触らないで!
「ごきげんよう」「神のご加護を…」
朝の清冽な空気の中、女子生徒の挨拶がこだまする…。
学校の校門をくぐると、そこは身も心も清らかな乙女の園…。
そう、ここは神田ミカエル女学院…。
中庭の大天使ミカエル像が、通う女子生徒たちを守護している…。
天界の大天使ミカエルは、ここに通う女子生徒たちを見て何を思うか…?
その御心は、まさに神のみぞ知るということなのだろう…。
ここに三年間通えば、お淑やかなお嬢様になって卒業できるという…。
制服は翻さないように、静かに歩き…。
清廉潔白で文部両道、それでいて純粋無垢な心を持った乙女たち…。
この学院には、そういった生徒しか存在しないのです…。
否、今日から新たに校門をくぐった、たった一人の生徒を除いて。
冬休みのある日…。
外は冷たい風が吹いているというのに…。
グレモリーはすぐにサタン様に会いましょう!と言う。
私は寒いので、ずっと炬燵に入っていたい…。
そう伝えると、そんなのダメですと炬燵から出された。
鬼!悪魔!グレモリー!!
グレモリーはそもそも悪魔だったか…。
私は着替えて、コートを羽織った…。
サタン様がどこにいるかわからないので…。
グレモリーが案内してくれるという。
グレモリーもいつのまにか外出用の服に着替えていてる。
一緒に住んでいるギャルの藍さんはもう遊びに行っていて。
花子さんはお留守番である…。
私たちは、寒い中家をあとにしたのであった…。
家から出たあと、歩きながら…。
私はグレモリーにサタン様がどこにいるかを聞いてみた。
グレモリーの話によると、サタン様は新宿にいるという…。
しかも、新宿都庁で働いていて…。
都知事を目指していたけれど、なることができず…。
都知事の元で秘書をしているという話だった…。
普通は都知事の秘書は都知事とコネクションがないとなれない。
けれど、サタン様は魔力を使い秘書になれたという。
ちなみに秘書の正式名称は、政務担当特別秘書という名称。
普通は都知事が任命するはずなのだが…。
サタン様の魔力で、どうにかなってしまったのだろう…。
現女性都知事の影響力が以前強く…。
都知事になることは叶わなかったのだった…。
私とグレモリーはサタン様に会いに向かっている。
最寄りの駅に着いて、持ち合わせがなかった私…。
そしたらグレモリーからICカードをもらいました。
ヨシ!これさえあれば、電車に乗れるぞ!
ちゃんとチャージもされている。
グレモリーありがとうございます…。
山手線の改札を無事通って、電車に乗り込む…。
電車内はなかなか混んでいた…。
痴漢とか変な勧誘に遭いませんように…。
以前、そういう人にあったので心配になったのだ。
座席もいっぱいで座ることもできず…。
人混みの中、立って乗るしかなかった…。
私はグレモリーのそばに身を寄せる…。
人見知りの私は他人が怖いので…。
知っている人に、身を寄せるしかないのであった。
グレモリーは現世にやってきた女悪魔である。
私は異世界というか魔界に転生した時…。
初めて?契約した悪魔で…。
私の配下にあたる悪魔なのである…。
見た目は褐色の肌をしたセクシーなお姉さんで…。
今日も胸の谷間が丸見えなスーツな服を着ている。
身体のラインにピッタリと沿っている…。
そんなタイトなデザインのスーツで…。
自分の身体が、いかに豊満なのかわかっている…。
そんな着こなしなのであった…。
私がグレモリーに身を寄せると…。
自然と?私の顔の辺りに胸の谷間がやってきて…。
グレモリーのムワッとした身体の香りも…。
一緒に私の鼻腔をくすぐるのであった…。
グレモリーの身体の香りは…。
すごい甘ったるい匂いで…。
砂糖を熱して煮たような匂いなのである…。
私は咽せそうになって、頭がクラクラしてしまう…。
電車内で酔わないようにしないと…。
「ご主人様?お疲れなら私の身体に寄り掛かってください」
グレモリーは何か勘違いしたらしく…。
私の身体を抱き寄せた…。
グレモリーは片手を私の腰に回して…。
グイッっと私を抱き寄せる…。
なので、私の顔の前にもっとグレモリーの谷間が来て。
しかも身体の匂いも、もっと匂ってしまうのであった。
うぐぐぐ、グレモリーそれ以上密着されると…。
私の頭はもっとクラクラしてしまう…。
そのとき、私のお尻をさわりさわり触られている…。
そんな感触があった…。
うわぁ、やっぱり痴漢…!?
私はびっくり仰天してしまうのであった…。
「やっぱりご主人様のお尻小ぶりでかわいいですね!」
なんと、触っているのは、グレモリーなのであった…。
なんだびっくりして損してしまった…。
どうせ、私のお尻は小ぶりですよ…。
グレモリーのお尻みたいにどっしりしてないんだから…。
「もう!グレモリー!お尻触らないで!」
私はそう言って、グレモリーに注意するのであった。