八十話 夢とシャワーと私。
いつしか夢の中にいる私。
私は小さな虫のような羽が生えて、空を飛んでいた。
裸の身体に、背中に揚羽蝶のような羽が生えている。
羽は漆黒の悪魔のような羽で、蛍光色のような青色がアクセントのように輝いていた。
羽ばたくたびに、青色が燐光のように妖しく光っている。
私はしばらく空中で羽ばたいていたが、巨大な半円球の物体を発見した。
甘い匂いと、柑橘系の爽やかな匂いを発するその物体に、私は吸い寄せられるように近づいた。
私は、半円球の物体にしがみつくと、匂いを深く吸い込んで堪能した。
その物体の表面には、朝露のような液体がたくさん付着していた。
私は舌を伸ばし、その液体を飲んだ。
飲んだというか、舌が蝶の口吻のように伸び、液体を吸い込んだ。
その味は甘露のように甘く、ちょっとほろ苦くて美味しかった。
私はその液体を思うまま吸い込んで、堪能した。
私の裸の身体も、朝露のような液体でびっちょりになった。
少しねっとりしたその液体を、私は自分の身体に塗りこんだ。
顔にも首にも、胸にもお腹にも、いけない部分にも…。
全身に塗っているうちに、私は感じてしまっていた。
私は薄々わかっていたのだ。これは夢だと…。
そして、半円球の物体は翼さんの胸で、朝露のようなのは翼さんの汗だとわかっていた。
それをわかっていて、私は…。
私は翼さんの汗を、自分の身体に塗りまくって、致してしまった…。
私って、とんでもない変態だ…。
そんな夢を見て、私は目覚めた。
はっと目覚めると、愛しい翼さんの顔が目の前にあった。
昨晩の自分のしたことを思い出したり、夢を思い出して、私は顔が真っ赤になった。
翼さん、私はとんでもない変態です。ごめんなさい…。
ふと、自分の身体を触ってみると、寝汗でびっしょりだった。
翼さんのいい匂いのベッドを汚してしまったような気がして、申し訳なかった。
自分の身体の匂いを嗅いでみたけど、臭くはない。
一応ホッとした。
寝汗もすごいし、どうしよう。
部屋の時計を見ると、まだ午前6時前だ。
翼さんを起こさないように、起き上がり、私はシャワーを借りることにした。
勝手に借りてしまって申し訳ないけど、このままだとやばいと思ったのだ…。
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