三百六十一話 腰痛めたのですか?

「ごきげんよう」「神のご加護を…」

朝の清冽な空気の中、女子生徒の挨拶がこだまする…。

学校の校門をくぐると、そこは身も心も清らかな乙女の園…。

そう、ここは神田ミカエル女学院…。

中庭の大天使ミカエル像が、通う女子生徒たちを守護している…。

天界の大天使ミカエルは、ここに通う女子生徒たちを見て何を思うか…?

その御心は、まさに神のみぞ知るということなのだろう…。

ここに三年間通えば、お淑やかなお嬢様になって卒業できるという…。

制服は翻さないように、静かに歩き…。

清廉潔白で文部両道、それでいて純粋無垢な心を持った乙女たち…。

この学院には、そういった生徒しか存在しないのです…。

否、今日から新たに校門をくぐった、たった一人の生徒を除いて。


冬休みのある寒い日…。

私はサタン様に会いに行くことになった…。

サタン様は何か怒りやすい性格らしいし…。

なんにせよ休みの寒い日に出かけるのが嫌だ。

そうグレモリーに伝えたのだけれど…。

一刻も早くサタン様に会いに行きましょう!

というので、渋々私は炬燵から出て…。

出てというか、半ば無理やり出されて…。

サタン様に会いに行くことになったのである。


家から出たあと、歩きながら…。

私はグレモリーにサタン様がどこにいるかを聞いてみた。

グレモリーの話によると、サタン様は新宿にいるという…。

新宿都庁でテキパキ?働いていると言うことだった。

都知事を目指していたけれど、なれなくて…。

都知事の元で、秘書をやっているという…。

現都知事の女性の威厳がいまだ強いらしい…。

ちなみに秘書の正式名称は、政務担当特別秘書という名称。

本来都知事の指名がなければなれないそうだが…。

サタン様は魔力を使い、秘書になれたという。


私とグレモリーは新宿に行くために…。

山手線に乗り込んだ…。

山手線は結構混んでいて…。

色々と大変だったけれど…。

どうにか新宿駅に着くことができた…。

しかし、新宿駅は超複雑な構造をしている…。

グレモリーとはぐれないように着いていったけれど。

足早に歩いて行ってしまうグレモリー…。

私はいつしか、グレモリーとはぐれてしまうのだった。


やっと新宿駅に着いて…。

サタン様に会おうと言うときに…。

私は道に迷ってしまって…。

駅構内の端で泣き出してしまうのであった。

誰も助けてくれないこの東京砂漠で…。

ずっと泣いている私…。

何分泣いていたかわからなかったが…。

銀髪ですごい綺麗なお姉さんが…。

私に優しく声を掛けてくれた…。

私は泣きながらだけれど…。

都庁に行きたいのですと伝えた…。

するとそのお姉さんも都庁勤務だという…。

渡りに船とはこのこと!?

私はお姉さんの手を取り…。

やっと立ち上がれたのである…。


都庁にそのまま連れて行ってくれる…。

そう思ったのだけれど…。

私が泣いていて…。

今は涙が止まったけれど…。

私の目が赤く泣き腫らしているらしいので。

お姉さんが喫茶店に誘ってくれて…。

落ち着いてから、都庁に向かおうと言ってくれた。

新宿駅構内は広大で、都会なので…。

喫茶店も構内に何軒もあるそうで…。

お姉さんが連れて行ってくれたのは…。

ちょっとこじんまりした喫茶店だけれど…。

店内が薄暗いけど、オシャレな店内で…。

私の泣き腫らした目が見えないように…。

お姉さんが気を遣ってくれたらしかった。


お姉さんはサンドイッチとコーヒー…。

私はココアを注文した…。

先に会計を済ませるらしく…。

お姉さんはスマホをかざして会計を終えた。

すごいキャッシュレス決済だ…。

やっぱり大人なお姉さんは会計もスマート。

私はそんなところにも感心してしまう…。

私は悪いのでココアのお代を払おうと思ったけど。

お姉さんは構わないと言ってくれた…。

私はありがとうございます…。

と、お礼を言うのであった…。

私はトレイに乗った物を運んで行った…。


私は近くの2人座れる席にトレイを置く…。

私はその席に座った…。

お姉さんは近くに来たけれど…。

何故か立ったままであった…。

「あ、あのどうしました?」

私はこの席が気に入らないのかな?

と思ったのだけれど…。

「私は立ったままで構わないから…」

お姉さんは立ったままコーヒーカップを手に取った。

え?立ったままコーヒー飲んでる!?

私、腰が痛くてあまり座れないの…。

お姉さんはそう説明してくれた…。

お姉さんはお尻の辺りを摩っている…。

そこは腰じゃなくて、お尻ですよ…?

「私、ここに来る前にアイツのせいで痛めてしまって」

お姉さんは忌々しい顔でそう言った…。

アイツのせいって?アイツって誰…?

「今度会ったら、土下座で謝ってもらうわ!」

お姉さんは優しそうな顔から怖い顔になっていた…。

土下座で謝る人大変だなぁ…。

私はココアを飲みながらそんなことを思っていた…。

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そのさき@小説
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