Semaglutide 2.4 mg/週の肥満を有する変形性膝関節症患者に対する有効性 (NEJM)

要約
膝の変形性関節症は変形性関節症の中で最も頻度が高く、慢性疼痛やQOLの生涯につながるが、肥満はその発症・進展における主要なリスク因子である。今回、GLP-1受容体作動薬であるSemaglutideの、肥満と変形性膝関節症患者における体重減少、変形性膝関節集関連疼痛の改善効果をプラセボと比較する試験が行われた。
本試験(STEP-9)は、多施設共同無作為化二重盲検プラセボ対照試験であり、対象患者は肥満(BMI 30以上)に加え、中等度から重度の変形性膝関節症による痛み(WOMAC score 4以上)を有する患者であった。参加者は2:1にSemaglutide群(2.4mg/週)とプラセボ群に割り付けられ、食事・運動療法に加え、治験薬が68週間継続された。
一つ目の主要評価項目は、68週時点でのベースラインからの体重の変化率であったが、Semaglutide群では-13.7%、プラセボ群では-3.2%とSemaglutide群で有意に減少を認めた。二つ目の主要評価項目は、は68週時点でのベースラインからのWomac score (痛み、関節拘縮、身体活動の評価指標で、0-100で評価し、100が最も悪い)の変化量であったが、Semaglutide群では-41.7、プラセボ群では-27.5とSemaglutide群で有意に改善を認めた。重篤な有害事象の発生頻度は、Semaglutide群では10.0%、プラセボ群では8.1%と群間で差を認めなかった。
結論として、肥満と変形性膝関節症による痛み(WOMAC score 4以上)を有する患者において、Semaglutideはプラセボに比較して有意に体重を減少させ、変形性膝関節症関連疼痛を改善した。

所感
瘦せればひざの痛みも軽減するのは当然と言えば当然ではあるが、個人的に興味を持ったのは、プラセボ群でもWOMAC scoreが-27.5と減少している点。実薬群では-41.7なのでそれを上回る改善を示しているが、「痛み」という主観的指標の評価の難しさを改めて感じさせられる。

Once-Weekly Semaglutide in Persons with Obesity and Knee Osteoarthritis | New England Journal of Medicine

いいなと思ったら応援しよう!