プロテオームと年齢 (Nature Medicine)
Nature Medicineより
Proteomic aging clock predicts mortality and risk of common age-related diseases in diverse populations | Nature Medicine
要約
循環血漿タンパク質はヒトの健康に重要な役割を果たしており、生物学的年齢の測定に使用できる可能性があり、加齢関連疾患、多重疾患および死亡のリスク予測に使用可能である。今回我々は、2,897個の血漿タンパク質を含むプロテオームプラットフォームを使用してUKバイオバンク(n=45,441)でプロテオーム年齢時計(proteomic age clock)を開発し、さまざまな集団における主要な疾患の罹患率および死亡率の予測能を検討した。実年齢を正確に予測する204個のタンパク質を特定し(ピアソンr=0.94)、プロテオーム老化が18個の主要な慢性疾患(心臓、肝臓、腎臓、肺の疾患、糖尿病、神経変性、癌など)の発生率、ならびに多重疾患および全死亡リスクと関連していることを見出した。プロテオーム老化は、テロメア長、虚弱指数(frailty index)、反応時間など、生物学的、身体的、認知的機能の加齢関連指標とも関連していた。プロテオーム年齢時計に大きく寄与するタンパク質は、細胞外マトリックス相互作用、免疫反応と炎症、ホルモン調節と生殖、神経構造と機能、発達と分化など、数多くの生物学的機能に関与が見られた。中国(n=3,977)とフィンランド(n=1,990)のバイオバンクを対象とした検証研究では、プロテオーム年齢時計は、英国バイオバンクでのパフォーマンスと比較して同様の年齢予測精度(それぞれピアソンr=0.92とr=0.94)を示した。今回の結果は、プロテオーム老化には複数の機能カテゴリにまたがるタンパク質が関与しており、地理的および遺伝的に多様な集団の加齢に伴う機能状態、多重疾患、死亡リスクの予測に使用できることを示している。
所感
実際の年齢よりも若く見える人もいれば老けて見える人もいる。見た目だけの問題ではなく、例えば実年齢よりも骨格筋量が明らかに少ないなど、肉体的な老化というのが実年齢と必ずしも反映しないこともある。
疾病リスクを評価するうえで、あるいは治療方針の決定の上で、「年齢」は重要な指標の一つではあるが、実年齢が「からだの年齢」を反映しているわけではないので、何か良い指標はないか?、という文脈の上でこういう研究が行われていると理解している。